ウーマンアイ 和服ブーム さらばくびれ 変わる美の意識![]() 着付け教室で帯の結び方の説明を受け、練習する女性たち=埼玉県川越市 「自分の体をきれいに見せるツールとして和服を着よう」という人たちが増えてきた。目立つのは、年を重ね体が丸くなってきた女性たち。その背景には、美しさに対する女性自身の意識の変化がありそうだ。 2009年10月の日曜日、埼玉県川越市で開かれた特定非営利活動法人(NPO法人)「川越きもの散歩」(藤井美登利代表)の着付け教室。背中に手が上がりにくい人向けの「簡単作り帯」など、オリジナルの着付けを考案している講師の帯津米子さん(48)が結び方を説明すると、参加者から「お尻が小さく見えてラッキー」などと声が上がる。 その一人世古利恵子さん(51)は着物歴4年。「着物を着始めてから太っているのが気にならなくなった」と振り返る。 和服を着る際には着崩れを防ぐため、タオルを巻くなどして体の凹凸をなるべくなくす補正をすることが多いが「補正の必要も減って着物には好都合。もう洋服に体を合わせる生活はしたくない」と笑う。 現在40代後半の藤井さんは、バブル期前後の約10年、欧州の航空会社で客室乗務員として働いた。パリやミラノのマダムたちがブランドものを堂々と着こなす姿にあこがれ「ヴィトンもシャネルもプラダもアルマーニも、有名ブランドといわれる服は全部買った」。でもどこか貧相に見えた。 「身長が伸び、手足が長くなるなど日本人の体形が変わったと言っても、胸も腰も欧米人とは立体感が違う」と藤井さん。東京の歌舞伎座で着物が似合う老婦人たちを見て「日本女性の年齢なりの美しさを引き出してくれるのは着物だ」と目覚めたという。 「豊かな胸と腰、くびれたウエストが美しいという欧米由来の身体観は変わりつつある」と指摘するのは着物ジャーナリストの田中敦子さん(48)。「健康ブームとも相まって、ウエストを強調し過ぎる服は体に悪いと考える人が増えた。逆に日本女性の身体的な欠点をカバーし、美しく見せる着物の存在に、人々が気付き始めた。周囲でも30代後半以降に着始める人が多い」とみる。 その言葉を裏付けるように、着物雑誌は30~40代が読者の中心層。04年創刊の「七緒」(プレジデント社)編集部によると「当初は20~30代がターゲットだったが購入者はさらに上の世代だった」。部数も5年で1万部以上増えた。 日常を着物で過ごすという津田塾大教授の三砂ちづるさん(51)は「日本ではかつて、着物からのぞくほっそりした首筋や足首で女性の美しさを表現していた。そうした感覚に戻っているのかも」と話している。 【共同通信】
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