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  • 子育てさがし パパ料理研究家の滝村雅晴さん


     滝村雅晴さん=川崎市

    ◎パパ料理で家族に笑顔 おやじの味を文化に

     父親の家庭料理「パパ料理」で、子どもや家族とのコミュニケーションをとる滝村雅晴さん(39)は、勤めていた会社を退職し、パパ料理研究家として今年4月に「ビストロパパ」を設立し起業。レシピの企画や料理教室、パパに似合うエプロンの開発、販売などを通じて、おふくろの味ならぬ“おやじの味”を文化にすることを目指す。

     立命館大を卒業後、PR会社を経て、1995年からクリエイターを養成する学校の運営会社の設立当初から参加。今年3月に退職するまで、提携先との合弁会社設立など多くの事業にかかわった。

     「やらされている感覚がないし、業界自体にスピード感があって楽しかったんですよ。朝一番に来て、終電で帰るような生活で、部下にとっては嫌な上司だったと思いますけど。結婚後も妻が出産するまでは共働きだったので、自炊よりも食べ歩きの方が多かったですね」

     本格的に料理を始めたのは妻の幸子さん(40)が妊娠してから。知人に紹介されて買った料理本のレシピ通りにパスタとカルパッチョを作ってみたら、自分も家族もびっくりするぐらいうまくできたのがきっかけだった。

     「もともとは妻のつわりがひどくて、何とかおいしいものをという気持ちだったんですが、これだーという感じでした。本が好きだったから、料理本マニアになって、はまりましたね」

     料理へのこだわりが増す中、2003年5月に長女優梨香さん(6)が生まれた。土日には友人を招いてホームパーティーを開き、生地から作るシーフードピザなどを振る舞った。料理は確かにおいしかったが、翌日の幸子さんの機嫌は悪かった。ほぼ週末は家族のために料理をするいい父親だと思っていたある日、幸子さんに「あなたは家族への思いやりがない」と言われた。

     「冷蔵庫の中身を確認しないで買い物に行って、レシピに書かれていた食材がないから4店も探し回ったことも。凝っていて時間がかかるから、食べた後は疲れて寝てしまい、後片付けは妻任せ。家族によかれと思ってやっていたけど、自分が作りたいものを自分のペースで作って、勝手なことをしていた。少しずつ気付いたことを直して、現在のようなパパ料理になるまでは3、4年かかったんじゃないかな。最初からできたわけじゃないんです」

     滝村さんはパパ料理を、(1)時間をかけすぎない(2)道具や食材にお金をかけすぎない(3)後片付けをきちんとする(4)家族みんなが笑顔でいる、と定義する。幸子さんが忙しい時は、平日に食事を作ることもあるが、自らがキッチンに立つのは週末の三食と分担している。

     「単なるおいしいレシピだけでなく、料理を通して家族が交流するライフスタイルをつくりたい。料理は会話につながるし、食卓を囲んで食べれば、自然に笑顔になります。無理をせずに継続することも大事です」

     3年以上も毎日更新しているブログに書かれているレシピには必ず「子手伝い」の項目がある。滝村さんが自宅で炊き込みご飯を作る際、優梨香さんと次女の真央ちゃん(3)に「皮むきを手伝ってー」と声を掛けた。2人は慣れた手つきでニンジンの皮をむき「パパ、できたよ」「早いなぁ。ありがとう」と自然に会話も生まれる。テーブルで土鍋のふたを開け、できた炊き込みご飯を見た時は「わーおいしそう、早く食べよう」と待ち切れない様子。

     「子どもと一緒に買い物に行って食材選びをしてもらうと、どんな風に料理ができるか興味がわく。子どもって意外に食材に触ることは少ないですから、食育にもなりますよ。母親なら当たり前のことかもしれないけど、父親もそうやって食卓にどんどん乗り込んでほしい。料理は父親が育児に参加するのに最も入りやすい手段だと思います」

     「ビストロパパ」を起業する後押しになったのは、滝村さんの友人など同じ世代に、ポジティブに子育てや家事をやろうという雰囲気を感じたからという。

     「前の会社では、学校の生徒に『好きなことを仕事にしなさい』と言っていて、今度は僕がチャレンジする番だと思った。仕事中心から家族ができてライフを考えるようになり、料理を通じて社会的なことに関心を持ち、それがまた仕事につながっている。人生のこういう循環もいいんじゃないですか」

     「料理が上手になれば効率がよくなるから、仕事の生産性も上げるのにも役立つ。自炊だから経済的にも健康にもいいことだらけだと思います。手料理で笑顔が多い家族が増えれば、きっと豊かな社会になると思うんです」

     自宅の仕事部屋のドアには、優梨香さんが今年の春に何げなく書いた絵が張られている。絵には以前愛用していた紫色のエプロンをつけた滝村さんが描かれ、大きく「パパ」の文字が。時間をかけて好きなメニューを作る自己満足の料理から始まった滝村家のおやじの味は、パパ料理として確実に浸透している。(共同通信デジタル編集部、09年10月6日配信)

     × ×

     滝村雅晴(たきむら・まさはる)さん 1970年、京都府出身。幸子(さちこ)さん、優梨香(ゆりか)さん、真央(まお)ちゃんの4人家族。2009年に14年間勤めた会社を退職し、ビストロパパを設立。ブログ「ビストロパパ~パパ料理のススメ~」は3年以上、毎日更新中。

     ▽滝村さんの1日

     06:30 起床。真央ちゃんが早く起きればミルクを作る。日課のブログを更新

     07:00 家族4人で朝食。幸子さんが忙しい時は平日でも滝村さんが作る

     08:30 優梨香さん、真央ちゃんが幼稚園へ

     09:00 片付けなど

     10:00 自宅の別室で仕事。メールのチェックなど

     13:00 打ち合わせや外回り

     18:00 帰宅

     19:00 夕食や入浴

     21:00 優梨香さん、真央ちゃんが就寝。残りの仕事を別室で済ます

     24:00 就寝

      【共同通信】