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最高裁判決要旨 在外被爆者訴訟
在外被爆者訴訟で1日、最高裁が言い渡した判決の要旨は次の通り。
原爆2法による援護措置を受ける要件として「被爆者」であることに加え、居住地が日本国内にあることまでは要求していない。いったん被爆者健康手帳の交付を受け「被爆者」の地位を取得し、都道府県知事の支給認定を受け健康管理手当などの受給権を取得した「被爆者」が日本国外に居住地を移した場合に受給権が失権するとした402号通達の失権取り扱いの定めは、原爆2法の解釈を誤る違法なものだった。402号通達の失権取り扱いの定めは、原爆2法を統合する形で制定された被爆者援護法にも反することは明らかだ。
もっとも、通達の定めが違法としても、ただちに国家賠償法の違法があったと評価されることにはならず、国の担当者が注意義務を尽くすことなく、漫然と通達に従ったと認められる事情がある場合に限り国賠法上、違法と評価される。
402号通達は、被爆者にいったん発生した健康管理手当などの受給権について失権の取り扱いをするという重大な結果を伴うため、国の担当者は適法かどうかを慎重に検討する職務上の注意義務があった。
1974年の402号通達発出の前の段階では、国の担当者が日本国外に居住する在外被爆者に対し、原爆2法の適用がないとする法解釈の下に運用してきたことで、注意義務を尽くさず漫然と違法な運用をしていたとまでいうことは困難。
74年3月に、日本国内に不法入国した在韓被爆者についても法の適用があるとした司法判断が示された。これを受け、国の担当者も同年7月ごろには、在外被爆者については原爆2法の適用を一切認めず被爆者健康手帳を交付しないとしてきた取り扱いを改め、治療目的で適法に日本国内に入国し1カ月以上滞在している者については、原爆2法の適用を認め、被爆者健康手帳を交付し、健康管理手当などの支給要件に該当すれば支給認定する取り扱いを採用するに至った。
402号通達は、このような状況の下で、原爆2法の一部改正などの機会に74年7月22日付で発出され、原爆特別措置法施行規則の改正に関連させる形で失権の取り扱いを定めたものだ。規則改正の内容は原爆特別措置法に定める健康管理手当などの受給権者が都道府県の区域を越えて居住地を移した場合に受給権をいったん失権するとしていた従前の取り扱いを改め、受給権は失権しないとするものだ。
これらの事実関係から、402号通達発出の時点で、国の担当者は原爆2法が在外被爆者に適用されないとの解釈や運用が、正当か否かの検討を迫られることになり、検討した結果、適用を一切認めず、被爆者健康手帳を交付しないとした取り扱いや、健康管理手当などの受給者が都道府県の区域を越えて居住地を移した場合に受給権がいったん失権するとした取り扱いが、違法と認識するに至ったと考えられる。
原爆2法には、被爆者が日本国内に居住地を有することが適用要件と定めた明文の規定はない。いったん「被爆者」について発生した手当の受給権が、「被爆者」が日本国外に移住することで失われると定めた明文の規定もない。それにもかかわらず、402号通達発出当時、国の担当者は在外被爆者に対し、法が適用されないとする解釈を改め、一定の要件で在外被爆者が手当の受給権を取得することがあり得ると認めるに至りながらも、なお、現実にこれらの受給権が発生した後になって、「被爆者」が日本国外に居住地を移したという法に明記されていない事由で、その権利が失われることになるという法解釈の下に402号を発出したことになる。
このような法解釈は、正当性が疑問とされざるを得ないものであり、402号通達発出の段階で、原爆2法の統一的な解釈、運用について国の担当者が検討することになった機会に、注意義務を尽くしていれば、当然に認識することが可能だったというべきだ。
そうすると、国の担当者が、原爆2法の解釈を誤る違法な内容の402号通達を発出したことは国賠法上も違法の評価を免れない。
【共同通信】
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