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ギリシャ神話には驕[おご]りを戒める説話が多い。英雄ベレロフォンの手柄話もその一つだろう。翼を持つ天馬ペガサスに乗り、口から火を噴く異形の怪獣キマイラを退治して名を上げたが、その後がいけない▼自らの力を過信して天まで昇ろうとしたのだ。怒った全能の神ゼウスはペガサスを暴れさせる。ベレロフォンは空中から地面に振り落とされ、不自由な体になってしまう。ペガサスあっての英雄、その末路は痛々しい限りだ▼大企業の盛衰を見ていて、この説話を思い出す。驕りがあったと指摘されたのは、昨年6月に経営破綻[はたん]した米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)だった。世界一の座にあぐらをかいていたようで、小型車開発をおろそかにして時代の流れに取り残された▼再建途上にあるGMだがつい最近、経営幹部がこんな発言をしている。世界最大であることは常に愚かな行動を導く。何のことかと思えば、トヨタ自動車に向けられていた。漫才なら「ちょっとちょっと」と突っ込みを入れたいところだが、そうもいかなくなった▼GMに代わって世界一になったトヨタだが、部品の不具合が相次いでいる。アクセルペダルの大規模リコールが騒ぎとなり、今度はブレーキ。しかも、看板車種プリウスの不具合だ。GM幹部に反論できないのがなんとも悔しい▼東海道新幹線ではパンタグラフのボルトの締め忘れ事故もあった。世界に誇る技術の分野で、首をかしげるような事態が続く。驕りやたるみがあるとしたら問題は大きい。
[記事全文] 【熊本日日新聞】
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