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  •  名古屋地裁岡崎支部で初めての裁判員裁判が8日、始まった。3日間の日程で、強盗致傷などの罪に問われた谷口信義被告(59)を裁く。谷口被告が起訴内容を認めたため、争点は刑の重さにしぼられた。判決言い渡しは10日午後の予定。  起訴状によると6月1日早朝、愛知県三好町のコンビニで店員を包丁で脅して金を奪おうとし、抵抗した店員に軽傷を負わせたとされる。午前中の選任手続きで、愛知県三河地方の市民6人が裁判員に選出された。構成は男女3人ずつ。補充裁判員も男性2人、女性1人が選ばれた。  呼び出し状が送られた候補者72人のうち事前に17人の辞退が認められたほか、2人に呼び出し状が届かず、当日、出向くよう求められたのは53人。出席したのは48人だった。        ◇     名古屋地裁岡崎支部302号法廷で8日に始まった三河地方初の裁判員裁判。選任手続きで選ばれた裁判員6人と補充裁判員3人は、緊張の面持ちで午後1時半からの初公判に臨んだ。  被告人は、強盗致傷と銃刀法違反の罪に問われた会社員谷口信義被告(59)。これまでの裁判と同様に冒頭、久保豊裁判長が質問し、谷口被告であることを確認。検察側が起訴状を朗読した。濃いグレーのスーツ姿で、革靴に似せたスリッパを履いた谷口被告は、うつむいたまま「間違いございません」と起訴内容を認めた。  続いて行われた冒頭陳述と証拠調べでは、検察側、弁護側双方が法廷の大型モニターに証拠書類を映し出したり、裁判員に資料を配ったりして主張を展開。法廷中央の証言台付近に進み出て訴え、一語一語区切ってゆっくり話すなど、丁寧に説明しようと努める姿が目立った。  検察側は、競艇などのギャンブルにのめり込んで消費者金融に約500万円の借金をつくるなどして金銭的に追い込まれ、犯行を決意した経緯を指摘。弁護側は「調査したところ、消費者金融4社への借金は過払いで、実質的にはゼロ。合計560万円がすでに還付された」などと明かし、「被害男性に100万円支払い、示談が成立している」と情状を訴えた。  初日の法廷は午後4時前に終了、2日目は午前10時から被告人質問や、論告求刑、最終弁論が行われる予定。  (中野祐紀) ◆凶器に戸惑い、調書画面注視  6人の裁判員は、被告人が犯行に至った理由や、反省の度合いなどを探るように、検察、弁護側の説明に耳を傾けた。  この日の公判で、裁判員から発言はなかった。裁判員たちは起訴状朗読、罪状認否と続く公判の冒頭は、頭を動かしたり、法廷を見渡したりして、落ち着かない表情。冒頭陳述後に、検察側から透明のケースに入れた凶器の包丁を手渡されると、やや戸惑ったように凶器を見つめた。  2度の休憩を挟み、検察側の被告人供述調書の読み上げが始まるころには、裁判員たちも雰囲気に慣れた様子。背広姿で眼鏡をかけた裁判員は、検察側が、被告はギャンブルにのめり込んで借金を重ね犯行に至ったなどと指摘すると、メモを取り、調書を映し出す画面を見つめた。  弁護人が被告人の反省文を提示すると、ほおづえを突いていた別の裁判員が身を乗り出した。犯行の原因となった借金が過払いだったことが分かると、深くうなずく裁判員もいた。 ◆選任漏れ「複雑」  午前11時半ごろ、選任手続きに漏れた裁判員候補者が、続々と地裁岡崎支部を出て、役目を終えた。  20代前半の若者から高齢者まで顔触れはさまざま。40代の公務員女性=岡崎市=は「この機会に体験してみたかった。でも、人を裁かなくて済む。ほっとしてもいる」と複雑な心境を話した。  女性によると、選任手続きは、候補者全員が302号法廷に集められ、6人ずつが順番に別室で裁判官らと面接。事前に記入したアンケート形式の質問状の回答を「間違いないか」と確認された。待機中は法廷で記念撮影をする人もいて和やかな雰囲気だったという。  傍聴希望者の抽選が行われる予定だった午後零時45分に集まったのは21人。席には余裕があり、全員が傍聴できた。  支部前では午前9時すぎから、「裁判員制度はいらない!大運動」東海連絡会の3人が、制度反対の呼び掛けと署名活動をした。通行人に「市民が市民を裁く場への強制動員。現代の赤紙だ」と訴えた。  (渡辺陽太郎) ◆普段着で法壇に  裁判官の両側に普段着姿の裁判員が並んだ。20代から40代くらいの6人。フード付きの上着、ジャージー、背広と街を歩く人がそのまま集まったようだ。  裁判長が「蒸し暑いから」と休憩を入れ、検察は大型モニターで事件の詳細を説明。弁護側は「私の方を見て話を聞いてください」と裁判員に呼び掛けた。難しい言葉のやりとりが続いた以前の刑事裁判では感じられなかった「市民感覚」で公判は進んだ。  愛知教育大付属岡崎中学校1年の神谷毬奈(まりな)さん(13)は、傍聴席から裁判員に視線を向けた。弁護士になるのが夢。裁判制度を調べる中で、初めての裁判員裁判を傍聴にきた。  説明が分かりやすかった、モニターに映された書類が読みにくかった、犯行現場の写真を見て緊張した-。裁判を細かに観察し、率直な印象を話してくれた。「裁判員は『普通』の人という印象。裁判が身近なものに思えました」  (宇佐美尚)
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      【中日新聞】