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宮城県石巻市のがれき置き場(奥)=2011年10月29日

 衣類、家具、木くず...。宮城県石巻市のがれき置き場では、泥だらけの日用品などがむき出しで積み上げられている光景が目立つ。周囲をシートで覆う対策が取られているのは、市街地の一部だけ。がれき置き場に隣接する仮設住宅で暮らす内海麻男さん(68)は「7月に入居した当初は、ハエがすごくて大変だった。今でも風向きによっては臭いがする」と不安げな表情を浮かべた。

尻込みする自治体

 石巻市で発生したがれきの量は616万トン。岩手県全域の475万トンを上回る。近隣の市町とともに震災前に運営していたごみ処理施設(年間処理能力5万トン)に持ち込むと仮定した場合、処理には100年以上かかる計算だ。

 石巻市内23カ所に設置された一次仮置き場は、住宅街や学校に近い場所が多い。がれき内部で発生したガスによる火災、悪臭、害虫にも悩まされる。分別や破砕処理を集中的に実施する「2次仮置き場」への移送は進まず、一次仮置き場はほぼ満杯。復興計画が策定され、居住・非居住のエリアが決まれば建物の解体も進むため、さらにがれきが増える。市の担当者は「住民に近い仮置き場だけでも早く解消したいのだが」と頭を抱える。

 宮城県は県全体のがれき1570万トンを処理するため、県外の自治体・団体にも処理を委託する考え。環境省の4月の調査では、572市町村・一部事務組合が受け入れを表明したが、10月の再調査では受け入れ6、検討中48に激減した。福島県内のがれきは対象外だが、放射性物質に対する住民の不安は消えない。

 県は10月、沿岸10市町のがれきに含まれる放射線量を測定するサンプル調査を始めた。結果は11月半ばに判明する見込み。県震災廃棄物対策課の担当者は「県内だけでは手いっぱいなことは明らか。何とか受け入れてもらいたい」と訴える。

2千件超える反対

 正式に受け入れを表明した東京都。お台場がある臨海副都心から海底トンネルを抜けると、東京ドームの170倍もある廃棄物埋め立て処分場が広がる。

 都は9月末、岩手県との間でがれき処理の協定を締結。宮城県のがれきも受け入れる。処理するのは3年間で50万トン、灰にすれば4万トン程度。 都の年間埋め立て量は約50万トンに上り、受け入れには問題のない量だ。

 持ち込まれるのは、サンプルの焼却灰の,が8千ベクレル以下で、国が自治体による埋め立てを認めているものだけだ。岩手県で試験的に焼却した際は133ベクレルだった。

 しかし東京都には10月28日までに2159件の電話やメールがあり、8割以上は「こどもへの影響が心配」「被災地の放射線を拡散するな」などと受け入れに反対する内容だった。管理事務所の高橋章所長は「心配する気持ちも分かるが、がれきをどけなければ復興も始まらない」。石原慎太郎都知事は「東京みたいな(費用対効果などの)条件を備えたところはあるだろうし、そういうところは作業を請け負って被災地を救うべきだ」と指摘している。(酒井沙知子、佐野俊介)=2011年11月05日

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第4部「『電力』の覇権」
第5部「原子力の戦後史」
第6部「原子力マネー」
番外編・原子力の戦後史を聞く
第7部「原子力人脈」
第8部「漂流する原子力」
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②復興への道

第1部「漂う人びと」
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第3部「地方のスクラム」
第4部「海外の被災地」

③インタビュー

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