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世界川物語

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川を渡った幼子

 髪を振り乱し幼子を抱える母親、泣きながらしがみつく少女、おびえたまなざしの少年…。写真には必死で川を渡る2人の母親と3人の子どもが写っている。  ベトナム戦争さなか、世界の目をくぎ付けにした戦火を逃れる母子の写真。日本人カメラマン、沢田教一の「安全への逃避」だ。1965年9月6日、ベトナム中部クイニョン郊外ロクチュアン村で撮られたこの写真は、ピュリツァー賞など数々の賞を受賞した。  度重なるナパーム弾による爆撃と掃討作戦で一帯は焼け野原になったが、写真に写る3人の子どもは健在だった。  ▽脅さ…

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Concept

世界にはいろいろな川がある。時には人と人を結び、時には隔て、過去と現在そして未来をつないでとうとうと流れている。私たちの生活と切り離せない川を舞台に、民族、歴史、環境、風土などさまざまな視点から人々との関わりを描く。

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 米国の首都ワシントンを流れるポトマック川近くの「タイダルベイスン」と呼ばれる池の一帯は全米きっての桜の名所だ。1912年、当時の東京市長が桜の苗木を寄贈したのがきっかけで、春に咲く満開の桜は日米友好のシンボルともなっている。  ここから約24キロ上流、バージニア州グレートフォールズにある学校に、新たな日米友好の芽がしっかりと育っている。  穏やかな流れのポトマック川もグレートフォールズまでさかのぼると、川の様相は一変。岩に覆われた大小の滝、白波の立った激しい急流に魅せられ、米国中からカヌーの上...【続きを読む】

 「この30年で川はすっかり変わってしまった。一日に捕れる魚の量は昔の10分の1にもならない」―。集会場代わりの簡素な寺の床に腰を掛けたストゥ・バン(52)がポツポツと語り出す。  「川の水を飲むと下痢したり、熱が出たりするようになった。こんな大きな川のそばにいて雨水を集めて飲むなんてどうかしている」  ▽消えた魚  集落のリーダー、シーク・メコン(52)が「川が変になったのは、上流にダムができた1993年の3年後くらいからだ。水位が大きく変わって洪水が多発するようになった。いつの間にかイルカも...【続きを読む】

 荒涼とした秋の大地に、何千ものモスグリーンのヘルメットが縦横に並ぶ。あるものは新聞紙大の盛り土の上に、あるものは真新しい墓石の上に―。ロシアの「母なる川」ボルガ川西岸の百万都市ボルゴグラードの郊外、ロッソシカにある旧ソ連兵の集団墓地で、兵士たちは今も隊列を組むかのように整然と眠る。  第2次大戦で米英ソなど連合軍がドイツに勝利する転換点となった歴史的激戦、スターリングラード攻防戦の舞台の一角だ。「スターリンの都」を意味するスターリングラードは「ボルガ川の都」ボルゴグラードの旧名。市街戦が有名だ...【続きを読む】

 湿地帯を小さな川が網の目のように流れる。森の中から1頭のゾウが巨体を揺すって現れ、池に向かって足を進めた。自分より体の大きいゾウに威嚇された先客のゾウが、慌てて水から上がり隣の池に逃げ出す。2頭のゾウの声が周囲の空気を震わせ、灰褐色の巨体が水をかくガボガボという音と重なり合う。  ゾウは長い牙を日の光に輝かせながら、頭を池の中にすっぽりと沈め、ミネラル分が豊かな池の底の堆積物を、鼻を使って巧みに口に運ぶ。  少し離れた草地では10頭のゴリラの家族が食事中だ。母親の背中に乗った子供やじゃれ合う若...【続きを読む】

 アフリカ第2の大河、コンゴ川。その支流の一つサンガ川を後に、4人乗りの細い丸木舟は、森の中を縦横に流れる小さな流れにこぎ入った。舟の前後にかいを手にして立つ2人の先住民の男性が声を掛け合いながら、細く入り組んだ水路を迷うことなく進む。  しばらく行くと、周囲の熱帯の森はいつしかヤシの林に姿を変えていた。浅い川の中から多数のヤシの木が高さを競い合うように立ち、その向こうから、何人もの男の明るい声が聞こえる。  ▽木登り  川に浮かべた丸木舟に座る男たちが指さすヤシの木の上から、ノミのような道具で...【続きを読む】

 「もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らすことができたなら、その後の人生をどこですごそうとも、パリはついてくる」  米国の文豪アーネスト・ヘミングウェーは、20代の数年間を過ごしたパリの魅力をこう語っている。(「移動祝祭日」高見浩訳、新潮文庫)  パリはそれほど魅惑に満ちた都市だ。エッフェル塔、凱旋門、シャンゼリゼ…。名所を挙げればきりがない。だが、この町を語るとき、絶対に欠かせない場所がある。  セーヌ川だ。  ▽遊覧船  晴れた秋の日、アルマ橋そばの桟橋から、セーヌ川遊覧船バトー・ムーシュに...【続きを読む】

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