47トピックス

▽世界の人口70億人、こんなに増えて大丈夫か   


                   

 国連人口基金(UNFPA)が2011年版「世界人口白書」を発表したことを報じた47NEWSの記事によると、世界の人口は10月31日に70億人に達するのだそうだ。
 あくまで推計なので本当は誰も正確なところは分からない。米政府はもうあと3千万人ほど足りないので70億人になるのは来年3月末だ、といっているし、実はもう到達しているのかもしれない。
 いずれにせよアフリカのどこかで人類が発生してから、1800年代の産業革命の時代に10億人に達するまでは10数万年かかったわけである。第2次大戦後に25億人に達した後は爆発的に増え続け、1998年に60億人になってから70億人になるのに13年しかかかっていない。
 国連人口基金は、今世紀半ばには93億人になり、世紀末の2100年には100億人を超す、と予測している。地球はそれほどの人口増加に対応できるのだろうかと心配になる。
 世界人口白書の日本語版を監修した元国立社会保障・人口問題研究所所長の阿藤誠(あとう・まこと)早稲田大学特任教授は共同通信のインタビューに、「富を分かち合い、食料、エネルギーの過剰消費を抑えれば100億人程度はなんとか地球上で支えられる」と答えている。
 まずは大丈夫のようだが、予測の前提が少し変っただけで数字は大きく変わりうる。人口の多い国で出生率が予測をわずかに上回っただけで2050年に106億人になり、2100年に150億人になるという試算もある。反対に世界全体の人口増加はいずれ頭打ちになり、2045年に81億人でピークに達し、2100年には62億人まで減少する、という予測もある。
 全世界的に見ると、確かに人口増加にブレーキがかかって来ている。1960年代に2%以上だった人口増加率は現在1%ちょっと。人口大国の中国やインドでもいずれ人口増加は頭打ちになるだろう。経済が発展し、社会が豊かになると人口増加率は下り坂になり、やがて減少に転じることもある、というのは留学先の東ベルリンで受けた「人口論」の講義で教えられた。 
 教壇に立っていたのは亡命イラン人の教授で、黒々とした髪に立派な口ひげ姿の恰幅のいい人だった。人口論は「デモグラフィー」というのだけれど、専門はデモグラフィーだと言うたびに「デモクラシー(民主主義)」と間違えられる、とぼやいていた。
 「発展途上国に於けるデモグラフィー上の諸問題」などという題で講演すると、必ず「途上国の民主化」のことだと勘違いした人がやって来るのだそうだ。
 「それは確かに、自分は故国に民主主義がないから亡命せざるを得なかったんだけどね」
 決して楽ではない亡命生活だったはずなのに、ユーモアのセンスもある人だった。実はその20年ばかり後、イランのテヘランで特派員として過ごしていた時に、ふとしたことで教授と同姓の医師と知り合い、一族がイランでは名家の一つだった、ということが分かるのだが、ま、それはまた別の話である。
 世界人口白書に戻ると、人口爆発の深刻な問題だけでなく明るい話題も少なくない。例えば世界の平均寿命は1950年代に48歳だったのが21世紀最初の10年では68歳になったこと、女性1人が生涯で出産する子どもの数が6人から2・5人に減ったこと、乳児死亡率が千人当たり133人から46人に減ったこと、などだ。
 しかし手放しで喜ぶわけにいかないのも事実。平均寿命が伸びても社会の高齢化と老齢者人口の増加、あるいはアフリカの貧しい国々での人口増加など解決すべき問題は多い。阿藤教授の言う通り「富を分かち合い、食料と、エネルギーの過剰消費を抑えれば」道はきっと開けるのだろう。

(2011年10月27日 今井 克)

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