47NEWS > 47特集 > 47オピニオン

核心評論「中国PM2・5」(オピニオン欄用)

成長戦略の抜本的見直しを 

 中国では今冬も微小粒子状物質「PM2・5」による大気汚染が極めて深刻だった。北京などの都市部ではたびたび、汚染警報が発令され、市民たちは外出を控えたり、マスクをしたりして身を守ろうとした。だが、健康への被害は避けられない。

 習近平政権は環境対策に力を注ぐと繰り返し訴えてきたが、一向に成果が上がらない。中国は成長重視の経済戦略を根本から見直し、環境を守りながら持続可能な発展を目指すべきだ。

 昨年12月、この冬初めて4段階で最も深刻な「赤色警報」が発令された北京では、視界不良のため多数の航空便が欠航したほか、一部の高速道路が閉鎖された。

 北京では今年初めも2番目に深刻な「オレンジ警報」が発令され、1月下旬の春節(旧正月)の際は、市内で爆竹や花火が使われたためPM2・5の濃度が急上昇した。

 主因は、自動車の排ガス、工場の排煙に加え、石炭燃焼の煙だ。経済開発に伴って、工場や自動車が急増、冬場は暖房用に安価な石炭が燃やされるため、内陸の工業都市で風のない日に濃度が高まることが多い。直径2・5マイクロメートル以下の微小粒子は肺の奥まで入り、ぜんそくや気管支炎の原因となり、肺がんや心臓疾患の危険性を高める。

 中国政府は2015年に改正環境保護法、昨年は改正大気汚染防止法を施行し、違法に汚れた排煙を出した企業に厳罰を科すなど取り締まりを強化してきた。

 環境保護省によると、15年の行政処分件数は約9万7千件で、罰金は前年比34%増の42億5千万元(約700億円)に上った。しかし、同年、全国338都市のうち265都市は大気汚染を目標レベル以内に抑えることができていない。

 昨年の経済成長率は前年比6・7%と26年ぶりの低水準となった。政府は中低成長を「新常態」として経済の構造改革に重点を移したが、成長率の急落を恐れ、減税や金融緩和で景気のてこ入れも図ってきた。成長至上主義から完全には抜け切れていないのだ。

 李克強首相は1月、全国環境保護会議で、PM2・5を含む環境保護対策について「監督・管理の成果を上げて、国民の期待に応えよう」と呼び掛けた。国を挙げて有言実行の取り組みが必要なのはいうまでもない。

 日本で行われたシミュレーションによると、西日本と北陸では、大気中のPM2・5のうち中国から運ばれて来たものが5、6割を占めるという。中国の大気汚染は人ごとではない。

 昨年4月の日中韓環境相会合では、中国のPM2・5対策のために日韓の環境技術のデータベースを構築することで合意した。日本も東アジア地域全体の問題として、中国の対策に協力し、真剣な取り組みを働き掛けていきたい。

 (2017年02月28日配信)