日本の実力 第2部 遊び心

ファッション

 くるんと揺れる巻き髪、付けまつげのデカ目メーク、ワンピースやショートパンツ姿の女の子が、弾むように歩く。一瞬ここは東京・渋谷かと錯覚するが、タイ・バンコクのサイアムスクエア。彼女たちはタイ人だ。

 所変わって米・サンフランシスコ。昨年ここに、原宿の裏通りの小さなショップ「6%DOKIDOKI」が期間限定でオープンした。店内は目まいがするほどの色、色、色。虹色のチュチュ、「ありがとう」の文字が連なったピアス、大きなリボン…。詰め掛けた米国人は歓声を上げた。「Kawaii!」

今や国際語

 「かわいい」は今や欧米、アジア、なんとロシアでも通じる国際語。小さな世界に独自の価値観を詰め込んでいとおしむ文化が理解され、単なる「幼稚」と区別されている。その象徴、ポップな

かわいい年表

世界中でKawaii! 独自の価値観を詰め込んで

バンコクの街なかでポーズをとるタイ王国版「SCawaii!」の読者モデルら。左からニチャパー・タムウィライさん、ウォラチャン・サンガン編集長、ティッタヤー・レッペさん(共同)

米国から東京・原宿のショップ「6%DOKIDOKI」を訪れ、ショップガールと一緒にポーズをとるクリスティーナ・ビスさん(中央)

日本ファッションへの注目度は高い。

 下地には、日本製のキャラクターや、アニメ、マンガが世界で流通していることがある。セレブにも人気のハローキティ、美少女戦士セーラームーン、写真シール作製機「プリクラ」…。

 タイの女の子のファッションバイブルとされるのが、日本のギャル系雑誌「SCawaii!」のタイ王国版。主婦の友社がタイの企業にライセンスを提供して昨年8月に創刊。日本誌面の翻訳と、現地編集部が作る誌面で構成され、発行部数12万部と同国の雑誌ではトップクラスだ。 

渋谷で買い物

 その読者モデルは、Kawaiiの体現者。表紙を飾る国立大3年ティッタヤー・レッペさん(20)は「欧米のファッションは強いイメージだけど、日本のはソフト」と話す。「モーニング娘。」のコピーグループでも活躍する大学3年ニチャパー・タムウィライさん(21)は「渋谷で買い物してみたい」。2人は「好きなのはリズリサ」と、渋谷のファッションビル109でも大人気の日本ブランドを挙げた。 

 ウォラチャン・サンガン編集長は言う。「私たちは金髪でもないし、欧米系の雑誌をお手本にしても似合わない。その点、日本のギャルファッションは取り入れやすい。タイ人は若く見られたがりますしね」

原宿巡礼

 本場のKawaiiに触れたいと来日する外国人客も

後を絶たない。

 「6%」のサンフランシスコ店に毎日通い、ついに来日して原宿を訪れたクリスティーナ・ビスさん(18)は力説する。「アメリカ人は大人っぽい服装をしたがるから、こういう格好をちょっと変だと言う人もいる。でも私は好き。Kawaiiという言葉は“キュート”と違ってもっとエモーショナル、感情を込めて使う。アメリカにはないものです」 

 1995年開店の「6%」は、原宿に集まる若い人と一緒に育った。伝統やルールにとらわれないストリートの自由な感性が、Kawaiiの源泉だ。ファンはパリやロンドンなどにも増えた。 

 ディレクターの増田(ますだ)セバスチャンさんによると、欧米では派手で目を引くKawaiiファッションはときに暴力や悪口の対象に。それでも着続ける女の子がいるという。「テロやマネーゲームが当たり前の現代に、若い子は直感でハッピーな『Kawaii』を求めている。その思いがファッションを通じて世界に広がっている」。増田さんはそう考えている。(中井陽共同通信記者)

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