ポスト京都議定書に向けた気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)で目立たなかった日本。2020年までに25%減という中期目標を掲げコペンハーゲンに乗り込んだ鳩山由紀夫首相も主導権を発揮できなかった。世界は環境分野での「日本の実力」をどうみているか。有識者の評価は、期待と不満が交錯している。
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「日本の進んだ技術は世界の温暖化対策に貢献する潜在力を持っている」。07年、ノーベル平和賞を受賞した気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のパチャウリ議長は、温室効果ガス削減につながる日本の技術として、新幹線に着目する

一人だ。
米国ではニューヨーク―ワシントンの往来に飛行機に乗る人が多いが、日本では東京―大阪間で新幹線利用が普及。パチャウリ氏は「この新幹線技術をインドや中国など新興、途上国に無償援助で移転できれば」と期待を寄せる。
英国の経済学者ニコラス・スターン氏も、低炭素社会の実現には日本の太陽光発電やハイブリッド車などの技術が欠かせないとの立場だ。温室効果ガスの排出規制が強化されれば「省エネビジネスで日本や中国の企業が世界を席巻する可能性がある」と予見する。
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一方、日本がどこまで途上国の環境支援に本腰を入れる気があるのか、疑問視する声も少なくない。
「日本の技術は進んでいるといわれるが、途上国の貧困根絶と環境対策に役立つものはあまりない」と一刀両断に切るのは、COP15に参加したインドの環境専門家だ。
日本は小沢鋭仁環境相が、10~12年の3年間で150億ドルを発展途上国の温暖化対策支援に提供する「鳩山イニシアチブ」を発表したが、これにも満足はしていない。「技術の支援や移転を真剣に考えるなら、もっと途上国の現場に合ったやり方を探すべきだ」
先進国に常に手厳しい国際環境保護団体グリー
ンピース・インターナショナル。クミ・ナイドゥ事務局長は日本の中期目標25%減は不十分と指摘する。「環境援助ももっとできるはずだし、削減目標は40%を打ち出すべきだ」。「技術支援では日本が中心的役割を果たしてほしい」との注文も付けた。
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鳩山首相は昨年10月の所信表明演説で温暖化対策など環境問題について、日本が先進国と途上国との「架け橋」の役割を積極的に果たしていく決意を表明。「世界規模での『環境と経済の両立』の実現、『低炭素型社会』への転換に貢献する」とも約束した。
世界的な金融・経済危機の荒波をもろにかぶった途上国。環境だけでなく人々の生存そのものが脅かされているアジア・アフリカでは、資金力と技術力を併せ持つ日本の助けを待っている国は少なくない。
ヒマラヤの王国ブータンでは温暖化の影響で氷河の融解が進行し、氷河湖が拡大。周辺住民は決壊による洪水が発生すれば、生命も失う危険に一時さらされていた。
コペンハーゲンでギャムツォ農相は「日本の国際援助により氷河湖から水を抜く工事が進み、住民たちは深く感謝している」と手放しで喜ぶ。
「日本の実力」で世界を救える分野はまだまだあるはずだ。 (井田徹治、木下英臣共同通信記者)




