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日めくり

日本のワイン誕生から140年 「2流」イメージから脱却

「シャトー・メルシャン ハーベスト・フェスティバル」でのワイン販売コーナー=10月6日 「シャトー・メルシャン ハーベスト・フェスティバル」でのワイン販売コーナー=10月6日

 1877年(明治10年)、多くのブドウ農家があった山梨県甲州市勝沼町で「大日本山梨葡萄酒会社」が設立され、日本で本格的なワイン醸造が始まってから140年。これを記念して10月6~8日の3日間、日本産ワインの試飲や販売を行う「シャトー・メルシャン ハーベスト・フェスティバル」(ワイン大手メルシャン主催)が東京都港区で催された。例年、同町のワイナリー「シャトー・メルシャン」で行っていたが今年は東京で初開催。期間中、多くの人が訪れた。

 もともと、夏季に雨が多く昼夜の寒暖差の少ない日本は良質なブドウ生産に向いていないとされ、海外から輸入した濃縮果汁を醸造したワインを「国産」と名乗っていたこともあり、日本産はイタリアやフランス産と比べ一時「安かろう悪かろう」とのイメージが先行していたが、現在は国際的なコンクールでの受賞も相次ぎ輸出も急増。「メイド・イン・ジャパン」の知名度も上がっている。

 ▽ハンデ

 フェスティバルでは海外で高い評価を得ている「桔梗ケ原メルロー2013」(赤)や長野県北部の北信地区千曲川左岸で収穫したブドウのみを使用した「北信シャルドネRGC千曲川左岸収穫2015」(白)など「シャトー・メルシャン」ブランドのグラス・ボトル販売やワイン用のブドウの試食、今年のブドウで造った樽だしワインのテイスティングが行われたほか、勝沼町のワイナリーのVR(バーチャル・リアリティー)体験コーナーも設けられた。

 筆者が記者として過ごしたイタリアは世界有数のワイン生産国。国土の多くが地中海性気候で、夏季が乾燥しているのが特徴。ローマでは夏季の2か月間、ほとんど雨が降らなかったこともあった。こうした気候がワイン用の、水分が少なく糖度の高いブドウづくりには最適とされ、湿潤な日本はハンデを背負っている。また、ブドウには昼の日照で甘みを、夜間の冷え込みで酸味を蓄える仕組みがあり、寒暖の差により、甘みと酸味のバランスのとれたものができるがこの点でも、夏の夜、なかなか気温の下がらない日本は不利だった。

 日本のブドウ農家としても、生食用として高値で売れるブドウ生産を優先し、比較的安い価格で卸さざるを得ないワイン用を「余り物」と位置づけてきたことも、良質なワイン製造を阻んできたとされる。

 ▽呼称厳格化

 これに対し、各地のワイナリーはワイン用のブドウ生産に適した農地の確保に励んできた。日照時間が長い一方で降水量は少なく、昼夜の寒暖差の大きい標高の高い地域の中でも、水はけの良い土壌を選び、ブドウ生産を行ってきた。かつては棚で行ってきたブドウの栽培方法も、収穫力が半分以下に落ちるものの、より長い日照時間を確保できる垣根仕立てに移行、より糖度の高いブドウを生産できるようになった。

 濃縮用ブドウ果汁を輸入し加工したり、海外からバルク買いしたワインを加えたりしたものを「国産」と称する時代が長年続いてきたことが消費者の国産ワインに対する評価が上がらない一因ともなってきたが、近年は、ワイナリーの間で国産のブドウを使い国内で生産したワインだけを「日本ワイン」と称する流れも定着。国税庁も日本ワインの呼称を厳格化するルールを策定、来年から施行される予定で、こうした動きを後押ししている。

 とはいえ、気候風土の面で、完全に海外産のワインと同じものを造ることはできないことは衆目の一致するところ。シャトー・メルシャン工場長の松尾弘則さんは「フランスのワインなどを模倣し、追いかける時代もあったが、今は日本産の良さを追求することで、良質なワインを造る方向で取り組んでいる」と話している。  (47NEWS編集部 太田清)