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「誰でもできる何かが見つかる」 〝食材救出人〟日本に

青山ファーマーズマーケットのイベントに参加したダーヴィド・グロス監督(右から2人目)=1月22日 青山ファーマーズマーケットのイベントに参加したダーヴィド・グロス監督(右から2人目)=1月22日

 休日に放映されるバラエティー番組で「0円食堂」という企画があり、家族でよく見ている。アイドルグループが日本の各地を訪れ、普段は捨てられてしまうものだけで工夫して料理を作り、食材を提供してくれた人々にふるまうという内容だ。廃棄処分の理由はさまざまで、加工業だと切り落としの形が悪い部分など、やむを得ない訳もあるのだろうが、見た目が悪い野菜は市場に出せないから処分してしまうとか、…えっ、そんなことで…ということもあり、「もったいない…」とついつい考えさせられる。

 東京で1月21日から上映が始まったドキュメンタリー映画「0円キッチン」は、欧州版「0円食堂」とも言える。オーストリアのダーヴィド・グロス監督が「捨てられてしまう食材を救い出し、おいしい料理に変身させよう」と欧州5カ国を回るロードムービーだ。監督自ら、大きなゴミ箱を改造した「キッチン」を携え、廃油を燃料にした車で、捨てられる食材救出に駆けつける。収集車に集められた「ごみ」から、まだ食べられそうな野菜や果物が続々出てくる。「捨てるべき理由があるんだろうけれど、おいしそう」とウィーンの大学のごみ研究者。ドイツでは家庭の冷蔵庫に「死蔵」されていた食材で料理し、フランスでは混獲されたが市場に出せずに海に投棄される魚でブイヤベースを作る。食料廃棄の削減を訴えている欧州連合(EU)のお膝元ということで、ベルギーの欧州議会食堂にも突撃。1日で約150キロの食べ残しが出たことを確認し、調理せずに使い残した食材を一緒に料理することで、「変わるべきは現場のシェフ」との食堂のシェフの言葉を引き出す。

 劇場公開に合わせて来日したグロス監督は、「青山ファーマーズマーケット」で行われた「見た目の悪い」野菜を使ってのスープ作りイベントに参加した。マーケットに参加した農家から二つに分かれた大根やにんじんなど、市場に出さない野菜を購入し、参加者が切って大鍋で煮込んでいく。映画の中でもそうだったが、食べ物への敬意を持って楽しそうに料理する姿に、通りがかりの人々も何を作っているんだろうと次々とキッチンカーをのぞき込み、人の輪が広がっていく。

 「フードロス」は農業や水産業の現場だけでなく、工場でのパッケージ不良、店で売れ残り、家庭での食べ残し、さまざまな場所で発生する。日本では年間642万トンもの食品がまだ食べられる状態で廃棄されているとの試算もある。「日本のフードロスの現状も欧州とよく似ているけれど、昔からのもったいない精神とか、食べ物を大事にする姿勢がいいと思う」とグロス監督は言う。一方、欧州ではフードロスに取り組む市民の動きがビジネスにも発展している事例も出てきたと教えてくれた。日本でも市民レベルでフードロス削減に取り組もうという動きは出てきているが、商業ベースにのった事例となると、まだあまり多くはなさそうだ。「食べることは重要。映画の中で食品ロスを減らす、いろいろな事例を提示しているので、誰でもできる何かが見つかる」という言葉は、説得力に満ちていた。

(47ニュース編集部 木村啓子)