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日めくり

 ▽「震災がれき受け入れ反対」はエゴか? 


 東日本大震災から1年。11日には、被災地ばかりでなく、国内各地や海外でも慰霊のイベント・集会があった。「復興の道はまだ遠いけれど、絆で乗り越えていこう」が共通した心構えのようだ。しかし、その絆を根底から揺さぶる事態がいま進行している。それは、震災がれきの受け入れ問題だ。


 以前、私はこのコラムで「拒否すればすむのか」と書いた。放射能汚染の危険を理由に、受け入れに反対している人たちの態度が非科学的で感情的に思えたからだ。実際、原発事故で避難した人たちを中心にした受け入れ反対派に「地域エゴだ」などの批判が強まっている。しかし、最近「受け入れ反対にはどんな論理があるのだろう」と思って調べた結果、問題はもっと複雑で、現在のこの国の根本的な矛盾が表れていると思うようになった。


 被災3県の震災がれきのうち、処分されたのはわずか6%。国は「みんなの力でがれき処理」をキャッチフレーズに、異例の広報キャンペーンを展開している。その理屈としてあるのが「がれきが復興の障害になっている」だ。しかし、一部の専門家は「実体がない」と否定。「広域処理こそ地元の経済復興に結びつかない」という声さえある。「焼却すれば放射能は安全レベル」というのが、最も強力な根拠だが、これにも疑問や反論がある。チェルノブイリ原発事故で内部被ばくの研究をしたベラルーシの医師は、11日の沖縄での集会で「がれきを動かすこと自体が危険」と主張している。


 何より、反対派の主張には「メルトダウンなど起きっこないと言っていた国の言うことなど信用できない」という根本的な行政不信がある。「安全」という言葉に耳を貸さず、子どもたちを連れて避難した人たちを「極端な考え」と非難するのたやすい。彼らの言動に首をかしげるところはある。しかし「震災の痛みは国民全体で分担すべきだ」として広域処理が推し進められる中で、国民の大勢は受け入れに大きく傾いている。そして、いつからか「受け入れに反対するのは非国民」とでもいうような雰囲気ができつつある。それこそが、反対派が最も反発し、私も危惧する“大政翼賛”的な横並びの社会傾向だ。


 考えが対立する問題があれば、分かりやすい言葉に安易に同調するのではなく、現実が一体どうなっているのかをきちんと確かめたうえで、自分の頭で判断することが必要なのではないか。そのためにもメディアの責任は重い。(2012年3月13日 47NEWS編集部 小池新)