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日めくり

「市民の味方」?

 ▽「市民の味方」?


 ある大学で文章実習を教えるようになって4年目。先日、文章の課題に「震災報道を考える」を出題した。学生たちが書いた文章は…。予想通り、東日本大震災の中でも、特に福島第1原発事故についてのマスメディア報道を厳しく批判する内容がほとんどだった。


 特に気になったのは「マスメディアは政府や東電と手を結んで情報を操作しているのではないか」と書いた学生が何人かいたことだ。事故の「レベル7」評価や「メルトダウン」の認定の遅れなど、数え切れないほどの問題点を考えれば、そうした疑いを持つようになってもおかしくないのかもしれない。私は授業で「マスメディアの報道にも誤りはある。しかし、つかんだ情報を隠したり、誤った情報を流したりすることはあり得ない」と言ったが、学生たちの多くは半信半疑の表情だった。


 「とうとう事態はここまできたか」と私は感じた。数年前、運営していたブログで「マスメディアは市民の味方か?」と問い掛けたことがある。「そうでないことは自明の理」「何様のつもりだ」…。さんざんなコメントを浴びせられ、私は“サンドバッグ”のようになった。その時点で既にその問いは、現実と懸け離れたものになっていたのかもしれない。


 一方ではっきりしていることがある。SNSなど、ネットのコミュニケーションが圧倒的な広がりをみせ、今回の震災でも「ツイッターで友達の無事を知った」という学生が多かった。しかし、彼らにしても、本筋のニュースを筆頭に、本当に確実な情報はマスメディアに頼るしかない。それが現実だ。だから、学生たちも、批判の文章の最後に「こうあってほしい」とマスメディアへのかすかな期待を書く。


 そうした声を受け止めて「市民の味方」の道を行くことができるのか。本当の正念場にきていると思う。(2011年6月14日 47NEWS編集部 OB)