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医療事故調査制度スタート  「予期せぬ死亡」対象

胸腔鏡手術を受けて死亡した妻の事故調査報告書を見る男性=6日、東海地方
 医療の安全確保を目的とした医療事故調査制度が始動。「診療に関連した予期せぬ死亡事案」が対象とされ、記録などに基づいて判断する医療機関の管理者の対応が問われる。制度の柱となる「院内調査」に関しては、原則とされる外部委員の選定で戸惑いも。費用や人員の確保など現場には制度運用への不安が渦巻いている。


 ▽悩む担当者
 東海地方の総合病院。2年前、 胸腔 (きょうくう) 鏡手術を受けた悪性胸腺腫の女性患者=当時(75)=が死亡した。腫瘍を取り除こうとした際に大量出血したことが原因だった。


 厚生労働省のモデル事業による調査では、担当医らが術前に2度にわたり患者に説明の機会を設けたが、死亡リスクには言及していなかったことが確認された。女性の夫(80)は「2時間程度の簡単な手術で、2、3日で退院できるとしか言われなかった」と話す。


 1日開始の新制度では、文書への記録の有無などに基づき、病院の管理者が「予期せぬ事案」として調査対象とするかを決める。担当医らは、患者の理解を得られるよう事前の説明を尽くし同意書を作成するなど、より丁寧な手続きが求められることになる。


 この病院では昨年、各診療科に「手術の危険性」「他の治療法の紹介」など目安とする項目を示し、患者側に十分な説明をするよう指示した。だが医療安全の責任者を務める副院長(65)は「現場は多忙を極め、指示が徹底されていない」。リスクを想定できた事案で調査対象外と判断した場合でも、事前説明の不足などの状況があって遺族が反発した時は、自主的な判断で調査を行うことも考えるとしている。

 

 ▽外部委員
 新制度は、診療録の確認や担当医らの聞き取りを行う院内調査には、原則として外部の医師や弁護士をメンバーに加えるよう定めている。ただ、この副院長は「これまで、公平性を担保するため診療に関与した医師とは別の大学出身者を選ぶ点で苦労してきた。今後も速やかに選定できるだろうか」と話す。


 共同通信が8月に全国の大学病院を対象に実施したアンケートでは、回答した31施設のうち16施設が外部委員を「 招聘 (しょうへい) する」と回答。一方で、「10月以降は事例の増加が予想され、(実際に招くかは)分からない」との記述もみられた。


 委員選定は、都道府県医師会や日本医学会所属の学術団体などの「支援団体」がサポートするが、ある民間病院の幹部は制度開始直前になっても「どこに連絡していいのか分からな
い」。


 ▽200万円も
 費用面への懸念も強い。ある大学病院の関係者は、1件当たりの調査には、外部委員への人件費や交通費など30万~100万円が必要と試算。アンケートに答えた東北地方の大学病院は「病院の持ち出しとなる可能性が高い」としている。


 日本医師会は、民間病院などが、遺体をコンピューター断層撮影(CT)などで調べる「死亡時画像診断」(Ai)や解剖を外部委託した場合の費用は200万円近くに上ることもあると説明。「自施設で全て賄えるだろうか」といった相談を受け、外部委託にかかる分は保険で賄う制度を創設した。


 一方、大学病院でも、医療安全に携わる専従職員が数人程度の施設は多い。「十分な体制を準備できない可能性がある」との声もあり、人為的なミスが疑われる事案を優先するなどの工夫が必要との指摘が出ている。


(共同通信)

2015/10/01 11:38

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