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【虐待増、子ども施設限界】ピーク時定員150%も 脱衣所や相談室で就寝

 東京都が運営する一時保護所の一室(都提供)
 児童虐待の増加に伴い、児童相談所が保護した子どもを短期滞在させる「一時保護所」の収容力が各地で限界に近づき、東京都と千葉県の計6施設で2013年に定員オーバーの状態だったことが共同通信の調査で分かった。ピーク月には定員比150%に達した施設もあった。


 90%台も全国に11カ所。部屋不足から風呂の脱衣所や相談室を寝室に使う施設もあるという。一時保護所は虐待に加え、非行を続ける子どもも保護する施設で、規則が厳しいことも論議になっており、専門家は「受け皿の拡大が必要だ」と訴えている。


 厚生労働省によると、全国約130カ所の一時保護所のうち13年1~12月の平均が定員比100%を超えたのは東京、千葉の6カ所だけだったが90%台は東京、千葉、神奈川、山梨、福岡各都県の計11施設。85~90%は8施設ある。




 


 東京都、千葉県によると、両都県の計2施設は特に過密が恒常化し、うち東京の施設は入所者の定員比が13年4月から1年間で106~136%(月平均)、千葉は100~150%(毎月1日段階)だった。虐待からの保護は緊急を要するため、定員を超えても受け入れざるを得ない事情が背景にある。


 両都県は現在各6カ所の一時保護所を運営し、定員を03~13年にいずれも約5割増やしたが、虐待対応件数は東京都が2・5倍、千葉県は5・7倍に激増した。


 千葉県中央児童相談所の 森山直人 (もりやま・なおと)所長は虐待件数について「心理的虐待からの保護が増えている。(夫婦間などの)ドメスティックバイオレンス(DV)は子どもへの心理的虐待と認識され、警察もDVで出動した際に児童相談所に連絡するようになった」と話した。


 ◎「会話なく重い空気」 人手不足、子にしわ寄せ

 定員超過などが明らかになった一時保護所の様子について、親から虐待を受け入所した経験がある少女(15)は、共同通信の取材に「会話がなく空気が重かった。処刑前みたいだった」と振り返った。
 一時保護所は虐待を受けた子どもの保護のほか、非行の少年少女を受け入れて行動観察する役割も兼ねている。そこに人手不足が加わり、管理優先の運営になりがちとの指摘もあり、東京都は今年、一時保護所に外部評価を導入する。




 一時保護所の生活について、絵を描いて説明する少女=7月、東京都内


 この少女は、小学5年生だったとき東京都内の児童相談所を経て一時保護所に入った。過密は気にならなかったが、「ほかの人と仲良くできるかな」と職員に尋ねると「仲良くしなくていい」と言われ驚いたという。


 同室の上級生は優しく、「早く寝た方がいいよ」などと声をかけてくれた。だが「勉強の時も食事のときもシーンとして誰も何も言わない」のが耐え難かった。職員の言動も高圧的に感じ、反発して脱走を試みた末、一週間程度で虐待する親がいる家に戻った。「児相や一時保護所には二度と行かない」と言う。


 子どもの権利に詳しく一時保護所に入った多数の子どもに接してきた 川村百合 (かわむら・ゆり)弁護士は「規律が厳しく、違反すると『反省生活』という処罰のような扱いを受けたと訴え『まるで刑務所』という子は多い」と指摘。


 「そんな経験から一時保護所を拒み、再び虐待から保護が必要になっても『あんなところに行くくらいなら』と街を放浪、生きる金のため体を売り、非行に走るケースがあり大問題だ」と話す。
 東京都家庭支援課の 木村総司 (きむら・そうし)課長は月数回、一時保護所を訪れる経験から「会話がないとは考えにくい。笑って話している場面はよく見る。朝7時起床でご飯を食べ勉強、という生活が厳しいかもしれないが、昼夜逆転から離脱できたという子もいる」と説明した。


 子どもの問題に取り組む 音喜多駿 (おときた・しゅん)東京都議は「一時保護所の過密で人手が不足すれば、職員は子どもの安全を守る必要上威圧的に管理し、しかも管理している感覚もまひしてしまう。だが子どもの視点から見ると監督され窮屈。予算と人員が必要だ」と強調した。


 ◎受け皿の多様化も必要

 児童福祉と一時保護所に詳しい 安部計彦 (あべ・かずひこ) ・西南学院大教授の話 福祉施策の不十分さ、虐待の多発など大人の問題が一時保護所の過密という形で子どもにしわ寄せされている。閉ざされた空間ですし詰めになれば、ストレスから暴力や職員への反抗、子ども同士のいじめも生まれる。緊急保護の受け皿を増やさねばならないが、子どもを数人単位に分けての運営や個室設置を進めるべきだ。短期で子供を預かる里親制度の整備も必要だ。


 一時保護所 各都道府県、政令市などの児童相談所に付属する施設で、17歳以下の子どもが対象。目的は①虐待により家にいられない子の緊急保護②非行をした子どもの状況把握や生活指導―などで、滞在は最長2カ月だが、延長もできる。虐待加害者の親が連れ戻す危険を避けるため、一時保護所内で勉強させる施設が多いほか、所在地が非公開の場合もある。


 (共同通信=澤康臣)

2015/09/24 14:35

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