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【シリア難民流入】格安密航情報広まり、祖国見切りか 豊かさ求め晩夏に殺到

 7日、ドイツ・ミュンヘンの仮設の難民キャンプで食事をする人たち(ロイター=共同)
 9月に入り突然、シリアなどから数万人がバルカン半島を経由しドイツに殺到した。シリア内戦の戦況は動いておらず、周辺国情勢に劇的変化もないのに、なぜなのか―。密航関係者や移民らの証言を総合すると、祖国に見切りを付けた市民に格安の密航情報が広まり、移動に適した夏が終わる前に「欧州の豊かさ」を求め一斉に旅立ったというのが真相のようだ。


 一方、欧州に向かったのは比較的経済力のある層で、本当に支援が必要な難民が置き去りにされているとの指摘もある。


 ▽焦り


 8月上旬、エーゲ海に面したトルコ西部イズミル。ここに集まったシリア人は若い男性がほとんどだった。トルコ紙によると「ことし大学を卒業した。軍に入隊したくないので逃げてきた」などと語った。多くがドイツに向かったもようだ。


 シリア内戦が本格化した2012年以降、トルコへの約200万人を筆頭に、膨大な数の難民が周辺国に流出。だが今回大移動した中心はシリア国内から新たに脱出した人々とみられ、中間層や富裕層が少なくない。


 これらの人々はシリア政府軍の徴兵強化や、トルコによるシリア国境での空爆開始で「脱出できなくなる」と焦り、出国を急いだ可能性がある。


 ドイツにたどり着いたシリア人は「波が荒れる季節が来る前にエーゲ海を渡りたかったため、多くの人が8月に国を出た」とも説明した。


 より大きな要因は安い密航ルートの確立だ。「(欧州圏に渡るには)3年前は1人3万ユーロ(約400万円)だった。今は千ユーロでも不可能じゃない」。シリアからの密航ビジネスに詳しい男性はそう証言。フェイスブック上には、密航の手順や必要な金額、密航業者の電話番号まで記載されており、「決断さえすれば誰でも行ける」という。


 ▽違和感


 過去のアフガニスタン難民などと比べると、今回の移民は格段に豊かに見える。ドイツ南部ミュンヘンに到着した人々の中には、英語やドイツ語を流ちょうに操り「仕事を見つけたい」と言う大学卒業者も。難民受け入れ施設では、スマートフォンを使って写真を撮り合う姿がよく見られた。


 大半は身なりも小ぎれいで、トルコやレバノン国境で暮らすシリア難民との違いは歴然。中東ではそこに違和感を覚える人が多い。内戦の危険にさらされているのは間違いないが、難民条約が定める「迫害を受ける恐れ」があるのか疑問視する見方もある。


 シリア反体制派ジャーナリストのアハメド・カメル氏は「彼らは難民ではない。欧州で良い暮らしをしたいだけだ」と指摘。「本当に支援を必要としているのは、金がなくてトルコ国境のキャンプから動けない真の難民。経済移民が難民に流れるべき支援を奪っている」と話した。(ミュンヘン、カイロ共同)


(共同通信)

2015/09/09 10:30

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