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【広島式典あいさつで首相】非核の決意疑われ、防戦続く 安保の逆風止まらず

 安倍晋三首相は7日の衆院予算委員会で、今後も「非核三原則」を順守する考えに変わりはないと説明に追われた。三原則に触れなかった6日の広島市での平和記念式典のあいさつに関し、野党から「核兵器廃絶に向けた首相の決意は疑わしい」(民主党幹部)と追及されたためだ。他国軍への核兵器運搬について法理論上は可能だとした政府答弁にも批判の矛先が向けられる。安全保障関連法案をめぐり吹き始めた政権への逆風はやみそうになく、防戦が続く。

 ▽軌道修正

 「『落としたから、政策を変えた』ということでは全くない。その証拠に、その後の被爆者団体との懇談会では『非核三原則を堅持する』と話した。(9日の)長崎のあいさつにも入る」。首相は、民主党の山井和則氏から「なぜ広島では触れなかったのか」と問われると、こうした釈明を繰り返した。

 伏線があった。官邸と外務省の関係者はあいさつ文を練る際、オバマ米大統領が掲げる「核兵器のない世界の実現」を盛り込めば、核廃絶への意思は伝わると判断。その結果、昨年と違って「非核三原則」が入らない文章になったとされる。

 首相周辺は「表現を簡略化しただけで、他意はない」と強調した。首相が長崎で非核三原則に触れるのは、広島でのあいさつへの反発が予想外に大きく、軌道修正を迫られたためではないかとする観測が出ている。

 ▽読み違え

 こうした見方を裏付けるように広島、長崎の被爆者団体からは「非核三原則は必要だと考えるなら、盛り込まないなんてあり得ない」(団体関係者)との声が続出した。首相側が世論の動向を読み間違えた印象は拭えない。

 核兵器運搬に関する政府答弁も波紋を広げたままだ。首相は7日の衆院予算委で、安倍政権が運搬する可能性を問いただされ「『弾頭を日本に運んでくれ』と米国が言うことは120パーセントあり得ない。頼まれたとしても絶対にやらない。当たり前ではないか」と気色ばんだ。

 防衛省や自衛隊の関係者によると、米軍が自らの安全保障に死活的に重要な核弾頭を他国軍に預ける可能性は、軍事常識に照らせば、考えられないという。政府筋は「いくら安倍政権に反対だとしても、核兵器を輸送しかねないと言って不安感をあおるのはいかがなものか」と野党への不快感をあらわにする。

 ▽信用力低下

 だが、安保法案と憲法の整合性をめぐる問題が野党の追及であぶり出され、政府が守勢に回っている現状は隠しようもない。「安倍政権の安保政策は危うい」(民主党中堅)との印象が浸透するほど、首相答弁の「信用力」が低下するとの見方は根強い。

 非核三原則を入れなかった広島での首相あいさつに関し、野党は「政治的意図があるのは間違いない」(枝野幸男民主党幹事長)と非難。核兵器運搬に関する答弁についても、引き続き取り上げる構えだ。法案を審議する参院での与野党攻防は激しさを増している。

(共同通信)

2015/08/08 10:51

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