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【東芝・不適切会計問題】「企業統治の優等生」のずさんな実態 端緒は内部告発 危機感乏しくダメージ拡大


 東芝の佐々木則夫副会長(左下)、田中久雄社長(中央下)、西田厚聡相談役(右下)と同社の株主総会(左上)、金融庁の看板(右上)のコラージュ
 東芝の不適切会計問題は、内部告発がきっかけとなり、第三者委員会の調査が「企業統治の優等生」とされた会社のずさんな実態を暴いた。問題発覚当初の経営陣の危機感が乏しかったことも、経営へのダメージを拡大させた。第三者委の報告書では、経営トップの関与や「組織的な実行」も指摘。信頼回復への道のりは遠そうだ。

 ▽端緒

 全ての始まりは1通のメールだった。「東芝のインフラ関連事業の会計処理に不正行為があった」。昨年、証券取引等監視委員会に届いたメールの差出人は、東芝の関係者だった。社員などが実名で通報する「公益通報制度」が活用され、内容は信ぴょう性があった。

 監視委は昨年12月に検査開始を決定。情報収集を進め、ことし2月、検査に着手した。最初に着目した原発事業では数十億円規模の利益水増しが疑われた。

 しかし、東芝経営陣の動きは鈍かった。社内の調査委員会を設置したのは、検査が入った約2カ月後の4月。社内調査では利益の水増し額が500億円余りとされた。田中久雄社長は5月下旬の記者会見で、社内調査で判明した以外に「大きな懸念は発見されていない」と強調していた。

 ▽証拠

 一方、東芝が問題を公表後、監視委には多数の内部情報が寄せられるようになった。第三者委はテレビやパソコン、半導体といったインフラ以外の部門も厳しく洗い直し、利益の水増し額は急速に膨らんでいった。

 さらに、問題の背景に経営トップの圧力があったことが社内のメールなどで裏付けられた。東芝関係者は「動かぬ証拠が見つかったため、社内でも調査に口を割る人が多くなった」と明かす。

 第三者委の報告書では、東芝の経営陣が各部門に収益目標の達成を強く迫っていたことや、上司の意向に逆らえない企業風土が存在していたと指摘。「役職員に適切な会計処理に向けての意識が欠如していたり、必要な知識を有していなかった」とも説明した。

 問題が発覚しなかった理由として「外部から発見しにくい巧妙な方法で行われていた」ことに加え、財務・経理部門の職員が入社から退社まで同じ部門に属し「不適切な会計処理に気づいても、仲間意識によりこれを是正することは困難な状況にあった」と指摘した。

 ▽3日で120億円

 経営陣の圧力についても詳しく言及された。佐々木則夫副会長は、社長を務めていた2012年9月の会議で、120億円の営業利益をわずか3日間で上積みするようパソコン部門に強く迫った。同部門は翌日、119億円を上積みすると報告せざるを得なくなり、東芝の子会社を通じて過大な利益を計上した。

 報告書では、経営陣の責任を明確化するため「人事上の措置」も求めており、田中氏や佐々木氏は辞任する方向だ。佐々木氏との対立が社内の混乱を招いたとされる西田厚聡相談役の責任も問われる可能性がある。

 東芝は経営の透明性を高める「委員会等設置会社」にいち早く移行し「企業統治では先進的だった」と金融庁幹部。それだけに「目標達成のため行き過ぎた圧力をかけるのはおかしいという議論は交わされていなかったのか」と眉をひそめる。

 監視委は8月末に東芝が提出する有価証券報告書を精査した上で、課徴金を課すよう金融庁へ勧告する見通しだ。

 「内部通報をした人も、ここまで問題が拡大するとは予想しなかっただろう」。東芝関係者は力なくつぶやいた。

(共同通信)

2015/07/21 10:30

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