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【特定秘密保護法】衆参のチェックに限界も 「官僚優位」が鮮明

 政府は、重要情報の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法に関する報告書を国会に提出した。法運用の透明性をアピールしたい考えだ。しかし、実際には秘密の指定件数などの開示に限定され、専門家は「内容が抽象的だ」と批判する。官僚側が優位となる制度設計が鮮明となり、チェック機能を期待される衆参両院の情報監視審査会の限界が早くも懸念されている。

 ▽国会不信

 「情報監視審査会から特定秘密を含む必要な資料提供を求められた場合には、尊重して適切に対応したい」。菅義偉官房長官は22日の記者会見で、こう強調した。

 政府は2013年10月、特定秘密保護法案を閣議決定し、国会に提出した。だが、政府の原案には情報監視審査会など国会報告の規定はなかった。法案審議の過程で、官僚による 恣意 (しい) 的な秘密指定への「歯止め」が必要だとの声が強まり、盛り込まれた経緯がある。

 情報監視審査会が政府機関に運用改善を求める場合は「勧告」にとどまる。政府は改善勧告に従う義務はなく、「安全保障に著しい支障を及ぼす恐れがある」と判断すれば、情報提示を最終的に拒否することもできる仕組みが残された。

 背景に存在するのは、膨大な秘密を抱える官僚機構の国会不信だ。「国会サイドに秘密を提供すれば、すぐに漏えいにつながる」との警戒感が広く共有されている。

 政府関係者は「各国の情報機関とやりとりするには、秘密が漏れないことが絶対条件だ。国会から求められても出せない情報はある」と明かす。外務省幹部も「法施行後、外交の現場では仕事がやりやすくなった。国会に対し、本当に重要な特定秘密の内容を開示することは実際にはないだろう」と予測する。

 ▽最低ライン

 「抽象的で、何を秘密にしたのか想像できない」。NPO法人「情報公開クリアリングハウス」(東京)の三木由希子理事長は、国会報告の中身が不十分だと批判する。

 今回の政府の報告書で分かるのは、行政機関ごとの指定件数や、それらが防衛、外交など4分野、55項目のいずれに当たるかのほか、秘密を含む行政文書の件数だ。数や大まかな区分という最低限のラインにとどまった。

 三木氏は、国会がチェック機能を果たすには対象情報の種類や指定理由が記された「特定秘密指定書」の情報公開が必要だと主張する。取材に対し「指定書を手掛かりに文書単位のチェックをしなければ国会による監視は機能しない」と語った。

 報告書には、次回報告から特定秘密の指定状況をより具体的に示すよう求める有識者の意見も盛り込まれている。しかし、法律を所管する内閣情報調査室の末永広内閣参事官は「指定書の国会への提示は運用基準にはない」と、慎重な姿勢を崩していない。

 日弁連の秘密保護法対策本部事務局長の斎藤裕弁護士(新潟市)は、特定秘密を扱うことが見込まれる公務員や防衛産業従業員らへの身辺調査となる「適性評価」の情報開示の在り方に注目する。今回は対象期間が昨年12月に限定されたため、適性評価は「実施ゼロ」だった。「今後、厳しいプライバシー調査を含む適性評価を受ける職員がどれくらいいるのか、人権問題として把握する必要がある」と訴える。

 (共同通信)

2015/06/23 10:00

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