47NEWS >  47トピックス >  超おすすめ

47トピックス

【震災5年目の今】壊れた家、孤立、高齢化 「在宅被災者」に支援を 


 避難所の仕切りだった段ボールを利用した天井の下で生活する行方璋房さん=4月、宮城県石巻市
 東日本大震災で壊れたままの家に住み続ける人たちがいる。「在宅被 災者」と呼ばれるが、どのくらいの人数か、どんな生活実態か、国も自治体も全く把握していない。支援団体は「孤立や高齢化が進んでいるのに、被災者として 扱われず放置されている。物心両面で行政によるサポートが必要だ」と指摘している。

 玄関脇の部屋は床がなく、基礎の土台と地面がむき出しになっ ている。宮城県石巻市内の80代の女性宅。1人暮らしの家は津波で1階が大破した。市の支援金で生活に最低限必要な居間と台所は直したが、残りの部屋はそ のまま。「1人だからこれでいいの」。周辺は解体して更地になったり、転居したりで近所付き合いはなくなった。

 近くの 行方璋房さん(77)は、1階の壁や天井を避難所で仕切りに使われていた段ボールを貼り付けて補修した。津波に漬かった断熱材は取り外したため、冬の室内は相当に冷え込む。

  支援団体の一般社団法人チーム王冠によると、在宅被災者は石巻市だけでも1万2千世帯あると推定される。仮設住宅の入居数とほぼ同じだ。崩れた家屋にひっ そり住んでいたり、布団もない状態で寝起きしたりしている人もいて、独居の高齢者や経済的に豊かではない世帯ほど困窮しているとみられる。

 石巻 市だけは独自の救済制度をつくり、住宅修理に最大200万円の補助を出してきた。しかしこの金額では十分な補修はできない。地域コミュニティーの再構築や 医療面のサポートも、2014年度までは民間に委託して行われてきたが「本年度以降は通常の市民支援の中で対応する」(市の担当者)と縮小傾向にある。

 チーム王冠の代表 伊藤健哉さん(48)は「多くの自治体では在宅被災者に全く目が向いていない。南海トラフ地震や首都直下地震でも、こうした被災者はたくさん発生するだろう。行政はまず現状を詳しく調べ、きめ細かい支援策を打ち立てる必要がある」と話す。

 被災者や支援者らは今月2日、仙台市内で集会を開き「一人一人が大事にされる災害復興法の新設を国に求めていこう」と申し合わせた。

 呼び掛け人の 津久井進 弁護士(兵庫県弁護士会)は「人が生きていく上で一番大切な、暮らしや住まいが軽んじられている。災害救助法など現行の法制度では対応できておらず、新たな法整備が必要だ」と訴えた。(高橋宏一郎)

 (共同通信)

2015/05/18 10:03

ロード中 関連記事を取得中...


コメント

コメントをお寄せください