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【労働基準法改正案を閣議決定】裁量制は「言葉のわな」 遺族、長時間労働を懸念


民主党の会合で裁量労働制についての懸念を訴える脇山晴枝さん=3月、東京都内
 政府は3日、高収入の専門職で働く人を残業代支払いといった労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」創設を盛り込んだ労働基準法などの改正案を閣議決定した。労働者側がこの制度と同様に懸念するのが、裁量労働制の対象業務の拡大だ。労使であらかじめ定めた「みなし時間」を超えた分の残業代が支払われないため、長時間労働につながりやすく、 裁量制で過労死した労働者の遺族 も不安を募らせる。

 ▽過密勤務
 「裁量労働というのは言葉のわな。ある人とない人がいて、入社2年目に裁量などない」。民主党が3月、東京都内で開いた会合で、出版社に裁量制で勤務し24歳で死亡した 脇山達 (わきやま・たつる) さんの母 晴枝 (はるえ) さん(75)が訴えた。

 大学卒業後、都内の出版社に入った達さんは女性週刊誌を担当し、帰宅時間は連日午前2~3時。土日も「読者調査」として読者層の女性に話を聞くなどの過密労働で、入社から約1年半後の1997年、急性心不全で亡くなった。解剖に当たった医師は「明らかに過労死です」と告げた。

 労働基準監督署に労災申請したところ、「裁量職場なので自分で勤務時間を工夫できたはず」などの理由でいったんは却下された。労基署はその後、労働実態を踏まえて労災認定したという。

 晴枝さんは「過労死等防止対策推進法が成立したのに、長時間労働で健康を損なう人が増えてしまう」と話した。

 ▽サービス残業
 裁量制には、編集者などの「専門業務型」と企画や調査を担う「企画業務型」があり、業務の遂行手段や時間配分を労働者自らが決定できるとされる。プロフェッショナル制度と異なり、深夜や休日の割増賃金はあるものの、みなし時間を超えて残業代は払われない。早く退社しても遅く退社しても同額となり、長く働くと労働者にとって損な仕組みは同じだ。

 2013年の厚生労働省の調査によると、みなし時間の平均は専門型が8時間32分、企画型は8時間19分。ところが、実際の労働時間はいずれもみなし時間を平均1時間程度上回り、長い人では3~4時間上回った。その分がサービス残業になっていることになる。
 ▽年収制限なし
 今回の改正案は企画型の対象を拡大し、新商品の企画立案と一体で営業を行う「課題解決型提案営業」などを追加。労働政策審議会の報告書は、「ホワイトカラー労働者の業務の複合化に対応する」と狙いを説明する。

 一方、連合の幹部は「提案のない営業活動はありえない。ほとんどの営業職が対象になってしまう」と反論。「平均年収の3倍を相当程度上回る」という要件があるプロフェッショナル制度と違い、裁量制には年収による制限がない。このことも対象者の増加につながるとして問題視する。

 こうした懸念に対し、塩崎恭久厚労相は「企業の経営全体に影響を与える営業であって、単純な営業ではない」「少なくとも3年ないし5年程度の職務経験を経ることが必要だと、指針をつくってはっきりさせる」と強調する。ただ、法律と違い国会審議を経ない指針では、簡単に変更されてしまう恐れは残る。

 (共同通信)

2015/04/04 12:20

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