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【ルポ・困窮のギリシャ市民】 野菜くず集め食いつなぐ 失った尊厳、生活苦限界


 アテネ市内の青空市場で、ごみ箱に捨てられた野菜をあさる女性=14日(共同)
 日が傾きかけた午後4時過ぎ。店じまいを始めたアテネ市内の青空市場に、ショッピングカートを引いた人たちが集まってきた。「野菜くずを集めて食いつなぐしかない」。粗末な身なりの女性が嘆いた。財政危機に陥り、欧州連合(EU)などの監督下で財政再建を進めるギリシャでは、増税、年金削減など厳しい緊縮策が低所得者層を直撃した。仕事も尊厳も失い、耐乏生活は限界に。25日の総選挙を前に、国民はやり場のない怒りと失望感を抱えている。

 真冬の寒風下、マリアと名乗る60歳の女性はごみ箱の野菜をあさっていた。穴の開いたスカートにサンダル履き。「ここで食べ物を集め、子供や孫たちと分ける」。離婚後、5人の子供を育ててきた。病気で働けず、子供たちも定職はない。

 市場に店を出す男性は「緊縮策が始まった約4年前からは、移民だけでなく、自尊心の高いギリシャ人も来るようになった」とため息をついた。

 ギリシャ統計局によると、「貧困や社会的疎外の危機」に直面する国民の割合はここ数年上昇が続き、2013年に35・7%に達した。失業率は約26%で高止まりし、中流層の多くが貧困層に転落。最低限の生活水準が維持できなくなった市民が急増した。

 アテネの民間支援団体「アルトス・ドラシ(パンと行動)」の食料配布センターには毎日、失業者らが列をつくる。96年の設立以来、主に移民を支援してきたが「今では支援対象の8割がギリシャ人」とラザロス・パパヨルギウ会長(65)は説明する。

 元トラック運転手ミハリス・チャウショグルーさん(59)は4年間失業中。4人の子供を抱えるが「若者さえ就職できないのに、私が職を見つけるのは難しい」。家賃を7カ月滞納し、退去要求におびえる毎日だ。

 支援を求める人は増える一方だが、不況で寄付が減り、支援団体の運営費は底を突く。「途上国なら世界中から支援してもらえるが、先進国ギリシャの貧困は分かってもらえない」とボランティアのポピーさん(67)。

 ギリシャ経済には回復の兆しも見える。観光客も戻り、アテネ中心部では高級店で買い物や食事を楽しむ市民の姿も。しかし、パパヨルギウ会長は「恩恵を受けているのはごく一部の市民だけ。統計上の数字は、貧困層には届いていない」と指摘する。

 失業中の30代の男性は「ギリシャはEUに従う奴隷だ。確かなのは、明日もまたここに来るということだけ」と言い残し、センターを後にした。(アテネ共同=植田粧子)

 (共同通信)

2015/01/20 12:11

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