【秋葉原事件】《資料》秋葉原殺傷・加藤智大被告の供述要旨 「掲示板だけに依存」
現実で本音でつきあえる人はいなかった…【共同通信の記事】秋葉原の無差別殺傷事件で27日、東京地裁であった加藤智大被告の被告人質問の供述要旨は次の通り。
【原因は三つ】
被害者の方、ご遺族の方に申し訳なく思っている。裁判は償いの意味もあるし、犯人として最低限やること。なぜ事件を起こしたのか、真相を明らかにすべく、話せることをすべて話したい。
わたしが起こした事件と同じような事件が将来起こらないよう参考になることを話ができたらいい。事件の責任はすべてわたしにあると思う。
ネット掲示板を使っていた。掲示板でわたしに成り済ます偽者や、荒らし行為や嫌がらせをする人が現れ、事件を起こしたことを報道を通して知ってもらおうと思った。嫌がらせをやめてほしいと言いたかったことが伝わると思った。
現実は建前で、掲示板は本音。本音でものが言い合える関係が重要。掲示板は帰る場所。現実で本音でつきあえる人はいなかった。
事件の原因は三つ。まず、わたしのものの考え方。次が掲示板の嫌がらせ。最後が掲示板だけに依存していたわたしの生活の在り方。
【母親との関係】
わたしは、何か伝えたいときに、言葉で伝えるのではなく、行動で示して周りに分かってもらおうとする。母親からの育てられ方が影響していたと思う。親を恨む気持ちはない。事件を起こすべきではなかったと思うし、後悔している。
わたしは食べるのが遅かったが、母親に新聞のチラシを床に敷き、その上に食べ物をひっくり返され、食べろと言われた。小学校中学年くらいのとき、何度も。屈辱的だった。
無理やり勉強させられていた。小学校低学年から「北海道大学工学部に行くように」と言われた。そのため青森高に行くのが当たり前という感じだったが、車関係の仕事をしたいと思っていた。現場に近い勉強がしたい、ペンより工具を持ちたいと。母親に話したことはない。
中学時代に母親を殴ったことがある。食事中に母親が怒り始めた。ほおをつねったり髪をつかんで頭を揺さぶられたりした。無視すると、ほうきで殴られ、反射的に手が出た。右手のグーで力いっぱい左のほおのあたりを殴った。汚い言葉でののしられた。悲しかった。
大学進学をやめ、自動車関係の短大に行くことにした。母親にはあきらめられていたと思う。挫折とは思っていない。勉強をしていないからついていけないのは当たり前。短大には失礼だが、無駄な2年。整備士の資格は取るつもりだったが、父親の口座に振り込まれた奨学金を父親が使ったので、アピールとして取ることをやめた。
【就職】
短大卒業後、工事現場の警備員の仕事に就いた。現場は最初だけで、その後内勤になった。給料は多いときで25~26万円。途中から固定給になった。給料は減ってもいいと思ったが、仕事の提案をしても所長に却下も採用もされず、手応えがないから辞めた。自分がいなくなれば、会社が困った状況になるという所長へのアピールだった。
ゲームの情報を得ようとして携帯電話で掲示板を見つけた。ネット上の友人ができ、仕事以外の時間はすべて掲示板にあてた。たわいもない雑談をしていた。
埼玉県の自動車工場で働いたが、休日は1人でゲームをしたり、秋葉原に行ったり。地理的に近かったのと、ゲームが好きだし、自分はオタク的要素を持っているので、オタクの聖地の秋葉原に興味がわいた。当時「電車男」の映画がはやり、オタクが市民権を得た。
仕事で部品の整理の仕方を正社員に提案したら「派遣は黙ってろ」と言われ辞めた。その後、茨城県の筑波で住宅メーカーの木材加工の派遣をした。人付き合いはほとんどなかった。3カ月ほど働いたが、自殺を考え始め、行かなくなった。
【自殺を企図】
孤独感が強かった時期だった。わたしが厳しい意見を言ったのがきっかけで掲示板上での友人関係がまずくなり、人が居なくなった。掲示板は帰る場所。かなりのめり込んでいた。
自殺を思いついた。車で対向車線のトラックに正面衝突しようと。平成18年8月31日、青森県弘前市のバイパスで、と決めた。到着し、路肩の縁石にぶつけて走行不能になった。母親は「よく帰ってきたね」「ごめんね」。幼少のころわたしにしたことを謝られてハグされた。
【掲示板】
実家では母親と会話する努力を始めた。父親は仙台に単身赴任していて、週末には青森に帰ってきていた。大学に行かなかったこと、資格を取らなかったことなどもろもろの意味で、父親に「バカでごめんね」と言った。話のできる普通の家族にしたいと思った。単身赴任から帰った父親に「離婚する」と告げられた。もう一度家族のやり直しをしようというところで、悲しかった。
掲示板は高校のクラスのイメージで、話題は何でもあり。雑談とかネタ、オタクのような話とか。スレッドを次々とつくり、みんなを面白がらせようとした。
書き込まれている文字の内容をそっくりそのまま考えていると取られると困る。ネタはひと言で言うと冗談。うけると返信があり、とてもうれしかった。1人じゃないと感じた。掲示板はわたしにとっての居場所。家族同然。現実でも親しい人がいるが、掲示板上のほうがより親しく、重要に感じていた。
(2010/07/27 20:41 共同通信)この記事へのリンクはこちら

