大転換 第9部 まつりごとが変わる1

 「インターネットで事前に食事するお店を決めるように、有権者がネットでマニフェスト(政権公約)を見てから投票に行く時代になった」。ネット検索大手ヤフーのメディア企画部長、川辺健太郎(かわべ・けんたろう)さん(34)は話す。 

 候補者の経歴や公約などを提供するサイト「みんなの政治」を立ち上げたのが2006年。そのサイトで衆院選の投票締め切り直後から、実際の投票先とその理由を受け付ける企画「みんなどこに投票した?」を実施した。民主党優勢を伝える速報さながらに「自民党はもういい!」「とりあえず政権交代してみよう」などと投稿が相次ぎ、アクセス数は4時間で約1万回になった。 

 07年の参院選前には、松岡利勝農相の自殺や後任の赤

NPOなどが政府への発信力を高めようと発足した日本サードセクター経営者協会の設立総会。会場はなごやかな雰囲気に包まれた=1日、東京・赤坂(共同)

ネット選挙“加速”へ

政策決定に市民も参加

ヤフーのサイト「みんなどこに投票した?」の画面。衆院選投票締め切り直後から投稿が相次いだ=8月30日夜区(共同)

城徳彦農相(いずれも当時)の事務所費問題などスキャンダルが相次ぎ「みんなの政治」そのものが月約1億回閲覧されたが、今回はその約1・5倍にも達したという。 

 今年7月には米検索大手グーグルの日本法人が、ネット利用者からの質問に立候補予定者が動画で答えるサイト「未来のためのQ&A」を新設。楽天も候補者の顔写真や略歴、政策などを紹介し、ネットを通じて個人献金ができるサイト「LOVE JAPAN」を始め、ネット大手がこぞって力を入れた。 

政党もネットに注目。公明党はテレビCMから、より低コストで24時間、政策を訴えられるとしてネット中心に切り替えた。自民党もホームページ(HP)で民主党の政策や政治姿勢をやゆする動画番組を流した。

 公選法142条は選挙運動に使用できる「文書図画」を一定のはがきやビラに限定、選挙運動を目的としたHP開設や電子メール送信は違法になる。民主党はマニフェストで、誹謗(ひぼう)中傷の抑制策などを講じつつネットを使った選挙活動を解禁すると明記。過去にも公選法改正案を国会に提出したことがあり、解禁に向けた法整備が加速するのは間違いない。  

 川辺さんは「公選法を改正するよりも前に、実態上はネット選挙が本格化した」と来夏の参院選に向け、次の一手に思いを巡らせている。 

 衆院解散直前の7月14日夜、民主党本部のホールで、民間非営利団体(NPO)と同党との政策討論会が開かれた。

岡田克也幹事長も出席、会は予定の2時間を超えた。NPO関係者は自民党からも予算策定時などに意見聴取されたことはあるが、選挙前は記憶にないという。 

 特定非営利活動法人(NPO法人)シーズ・市民活動を支える制度をつくる会事務局長の松原明(まつばら・あきら)さん(49)は、民主党が政策集「インデックス2009」の最初の項目に「NPO活動の促進・支援税制」を取り上げたことに注目する。08年版は4番目、07年版では16ページにあり、年ごとに順位が上がってきたからだ。 

 不況や構造転換の影響で企業や組織などに属さない個人が増え、松原さんは「NPOでなければ吸い上げられないニーズが増えた。政治はそこに目を向けるべきだ」と民主党の高感度を指摘。支援団体回りから選挙運動を始めた麻生太郎首相は「旧態依然」と映った。 

 内閣府によれば今年7月末現在、法律に基づき認証されたNPO法人だけでも3万8千近くある。とくに保健・医療や子ども育成支援など、民主党の立ち位置に近い分野で増加が目立っているようだ。

 日本NPOセンター代表理事の山岡義典(やまおか・よしのり)さん(68)は「政策決定過程は大きく変わるだろう。そのどこかで発言できるようにしたい。党の政策担当部署に人を出すようなことがあってもいい」と期待する。(橋本昌明記者)

 

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第1部 世界が変わる
第2部 生き方が変わる
第3部 日本人が変わる
第4部 資本主義が変わる
第5部 老いが変わる
第6部 働き方が変わる
①迷走する金融資本主義 ①見えてきた「生存」 ①ペンキ塗りの技伝える ①通貨暴落、住宅ローン倍に ①97歳の「出張授業」 ①海に生きる
②オバマに託す夢 ②「貧乏」を逆手に ②安い労働力、国外に求め ②「反資本主義」広がる支持 ②ボランティアで症状緩和 ②半農半X
③変革の裏側で ③女たちのルネサンス ③銀座に香港の「寿司王」 ③モノあふれ、価値観激変 ③バリアだらけで自立促す ③障害者の就労
④過熱した美術市場 ④「障害」を見つめる ④国籍捨て政治家目指す ④低価格車に誇り抱く ④ふれあう「命」支える ④派遣を超える
⑤砂漠の技術者 ⑤農村が都会動かす ⑤言葉の壁越え高校合格 ⑤大学起点に企業集団 ⑤技術が補う身体機能 ⑤面白法人でいく
⑥サムライ流多元主義 ⑥リアルを求めて ⑥ニューカマーが示す未来 ⑥目標捨てず、驚異の回復 ⑥山に生きる
⑦気付けば少数“先住民”
第7部 食が変わる
第8部 感覚が変わる
第9部 まつりごとが変わる
第10部 リサイクルが変わる
第11部 恋愛が変わる
第12部 権利が変わる
①中国ネット企業が養豚参入 ①体験と結び付き記憶に ①旋風過ぎ、残る重圧感 ①下水道から黄金取り出せ ①おせっかいかもしれないが ①裁判が認めた風景の価値
②資源も収入も減る一方 ②体震わす文脈なき歌詞 ②ネット選挙“加速”へ ②バイオ燃料、起点に循環 ②トラブル避けて出会い模索 ②納得して死んでいきたい
③「いただく」を実感 ③体との境界あいまいに ③投票率上がれ、学生奮起 ③鉱山技術で資源回収 ③わが子思い仲介に奔走 ③機関投資家の責任重く
④実態伝えぬ自給率 ④心の在りかの謎が再燃 ④初めて棄権、次は民主も ④大打撃の中古車ビジネス ④「光の出会い」幸せつかむ ④国際化の波、家族観にも
⑤捨てない努力が根付く ⑤想像し、深く感じ取る ⑤共感力失い政権転落 ⑤古民家を離島体験の拠点に ⑤彼女は画面に映るキャラ ⑤吹き荒れる逆風、でも…
⑥1日300錠の“食事” ⑥本をちゃんと届けたい ⑥性を超え、結婚を超えて ⑥“自主カメラ”急増中
⑦栄養の謎に挑む研究者 ⑦長距離ドライブを相乗り