個人の自由な意思で、人生をともに歩むパートナーを選びたい。さまざまな愛情の形が共存する現在、同性カップルや、結婚を選択しない男女などに対応し、新しい形の「家族」を公式に認める法制度づくりが欧米を中心に進んでいる。
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「彼と結婚したのは、心身ともに特別な関係であることを感じたかったから」。オランダ最大の同性愛者団体「COC」の会長、バウター・ニーリングさんは、少しはにかんで言った。


オランダ議会は2000年12月、世界で初めて同性間結婚を承認。遺産相続から養子に至るまで異性間結婚と完全に同等の権利を保障した。「彼を夫と呼べるようになり、精神的に満たされた」とニーリングさんは満足そうだ。
ユトレヒト大のカタリナ・ブーレ教授(家族法)は、オランダが同性婚を認めた背景には「性的志向による差別は人権侵害で、欧州人権条約に反する」との考え方が国民に浸透していたことがあったと指摘する。
今話題になっているのは「女性同士の結婚で生まれた子どもの親権」だ。出産した女性、その配偶者の女性、精子を提供した男性の3人が“親”として1人の子どもに関係する。伝統的な親子の形からは考えにくい問題だ。
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内容は国ごとに異なるが、特徴的なのはフランスの連帯市民協約(PACS)だ。18歳以上の2人が「共同生活の枠組み」を契約、扶養や債務を連帯で負うことを義務とする一方、税控除や相続などで結婚とほぼ同じ権利が得られる。
パリ郊外に住む元映画監督ジャン・ロンジャレさん(64)と
アンブロシオ・ダシルバさん(58)は25年来の同性カップル。2年前、PACSに署名した。「PACSで同性カップルが公的に認められ偏見が少なくなった」と同性愛者団体の活動家でもあるジャンさん。だが「養子を取れないなど問題はある」と同性婚の承認も要求する。
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昨年は14万6千件以上に上ったPACSの契約だが、実は9割以上は異性のカップルが利用している。フランスでは、離婚に伴う手続きは複雑で弁護士費用もかさむ。契約も解消もサインだけで済む上、結婚した場合と同じぐらい節税ができるPACSが魅力的と考える男女は少なくない。
パリでアクセサリー店を経営するエロディ・ジョルジュさん(31)は昨年、2年間共に暮らしていたボーイフレンド(36)とPACSに署名した。「ロマンチックじゃないけど節税が理由」と話すジョルジュさんの今の目標は子づくりだ。
フランスは女性が一生に産む子どもの数が2・0人(06年)と欧州トップクラス。育児中の休業補償や児童手当の手厚さに加え、嫡出子と婚外子の相続差別がなく、家族の形の選択肢が多いことが高い出生率につながっているとの指摘もある。同年に生まれた子どもの半数以上は婚外子だ。
「パートナーがいれば子どもを、と考えるのがフランス女性の伝統。安定したカップルと証明したい」とジョルジュさん。男女の愛のゴールは必ずしも結婚ではなくなっている。(舟越美夏共同通信記者)


