「世の中に広がる将来への不安が、婚活が広がる背景となっている」と話すのは神戸女学院大の内田樹(うちだ・たつる)教授。「家族は最終的に頼れるところであり、結婚は生き残っていくための強力な手段。人は人とのつながりなしには生きていけない。それを感じ取っている人々が動きだしている」とブームを分析する。
国立社会保障・人口問題研究所によると、30代前半の未婚率は1970年には男性12%、女性7%だったが、2005年には男性47%、女性32%に上昇。婚活に取り組む人が増える中でトラブルも起きている。
国民生活センターによると、昨年度寄せられた結婚相手紹


介サービスに関する相談は3118件で増加傾向。「ネットで探したお見合いパーティーに参加したが既婚者が1、2割もいた」「結婚紹介サイトをやめようとしたら嫌がらせを受けた」など悪質な例もある。
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そんな中、大手ポータルサイト「エキサイト」は10月、婚活サイトの信頼性を高めようと福井県と事業協定を結んだ。同月下旬には同県若狭町で1泊2日の「婚活ツアー」を県と開催。同社サイトを通じて集まった7都府県の30~38歳の女性と、町内の男性の計33人が参加。そば打ちや芋掘り、まき割りなどで交流し、別れ際に連絡先を交換するカップルの姿も。
参加した女性会社員(33)は「東京に住んでいると仕事に追われて出会いがない。イベントがあったら足を運ぶようにしている」と楽しそう。地元の農業男性(22)は「家族から早く結婚しろとせかされるけど周りは高齢者ばかり。気に入った人はいたから、友だちから始めたい」と話す。
同社のサイト加入には身分証提出が必要で、掲示板などに不適切な書き込みがないか係員がチェック。初対面では「相手の車に乗り込まないで」など細かく注意する。同社の角倉恵美(かどくら・えみ)プロデューサー(39)は「地域的な制限がなく、手軽に多くの人と知り合えるのがネットの特色」と話す一方、用心は怠らないよう呼び掛ける。
労働組合が出会いの場作りに乗り出しているケースもある。トヨタ自動車労働組合は組合員の要望に応え30代以上の独身者向けのイベントを実施、07年と08年にはワイン工場見学やソーセージ作り体験の日帰りバスツアーを企画した。9割が男性の工場系の職場と、女性が多い事務系の職場などから男女約20人ずつが参加した。
労組の中丸信之(なかまる・のぶゆき)局長(40)は「30代の独身社員が多いのが気になっていた」と話す。以前は同僚が交際の橋渡しをする例もあったが、最近は「プライベートな問題」として踏み込めない雰囲気だ。イベントをあえて「婚活」と呼ばない。「同年代の仲間と楽しい時間を過ごし、結果的に男女のつながりができれば」と中丸局長は話す。
故郷の縁を生かした婚活支援も。大分県出身で東京在住のNPO法人代表、伊藤彩子(いとう・あやこ)さん(34)は今年6月、大分出身の若者に呼び掛け銀座のホテルでパーティーを開いた。きっかけは「出会って恋に落ちて結婚するなら同郷の人がいいな」という女友達の言葉だ。
口コミの募集は進まなかったが地元紙が開催直前に記事に取り上げた途端、応募が殺到。20~30代を中心に男女60人が参加し、カップルもできた。「記事を見た親御さんたちが東京の息子、娘に参加を呼び掛けてくれた。同郷同士で結婚してほしいというのが親の願いなのでしょうか」。伊藤さんは今後もパーティーを企画する考えだ。(宮沢大志、松本真由子共同通信記者 )


