10月2日深夜。東京都内に住む30代の会社員、沢田信二(さわだ・しんじ)さん(仮名)は、福岡県に向けて愛車を走らせていた。助手席に座る同世代の会社員、田村孝(たむら・たかし)さん(同)とは、きょうが初対面。運転を交代しながら夜を徹して走り続けた。
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2人を結び付けたのは、インターネットの会員制サイト「のってこ!」。長距離ドライブの同乗者をメンバー間で募り、目的地まで車を共有する「ライドシェア」と呼ばれる新サービス


だ。サイト利用は無料で、ガソリン代などは当事者で話し合って分担する。
単身赴任中の沢田さんは、福岡県の自宅に帰る交通費を節約しようと考えた。「運転を交代できるので体力的にも楽です」と話す。営業マンの田村さんは「不況で会社が出張経費を出さなくなり、相乗りを始めた」。高速料金とガソリン代は合計で片道約1万8千円。沢田さんとの話し合いで、田村さんの負担は5千円と、新幹線料金の4分の1程度ですんだ。
「のってこ!」を運営する「ターンタートル」(川崎市)の梅元建次朗(うめもと・けんじろう)代表(32)は、欧州の相乗りサイトを手本に、07年にサービスを始めた。自分も地方の野外コンサートに行く時には、サイトで相乗りの相手を探す。「趣味が同じ人と乗れば車内の会話も盛り上がる。長距離ドライブも苦にならない」という。
昨年のガソリン価格上昇で利用者が急増。会員は約7千人に膨らんだ。会員には免許証のコピー提出を求める。相乗り仲間に法外な料金を押しつけようとする悪質な参加者は退会させるのがルールだ。
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新宿区の会社員、佐々木あゆみさん(34)は、生活用品などを会員間で無料で貸し借りするサイト「シェアモ」を使って、生後7カ月の長男の衣服を調達した。「子供服は成長すると使えなくなる。このサイトでかなり倹約できました」
シェアモのメンバーは3万人を超え、ホームページには会員が出品した衣類、家電、楽器、本、ゲームなどが写真付きで並ぶ。シューズなどを出品した台東区の30代の男性会社員は「誰かに使ってもらえると、人の役に立ったという満足感がある」と語る。
貸し出し点数は多いときで月間約2万点。利用は無料で、借りる人は送料を負担するだけ。使用した後は元の所有者に返さず、自分で引き取るか別の人へ貸し出すのを原則にしている。
サイト運営会社「エニグモ」(東京)によると、ゲームを借りた人が攻略法を書き込んだノートを次の人に譲ったり、犬の首輪を貸した縁で愛犬の情報を交換したりするケースも目立つ。「サイトをきっかけに新たな人間関係が生まれている」という。
消費者の節約志向に支えられ、レンタルビジネスも流行している。家具、家電から、高級ブランド品、ペットまでと幅広い。
タクシーに割り勘で乗る人を募集する「タクシーシェア」や、駐車場の自分の区画を空き時間に他人に貸す「駐車場シェア」のサイトも登場している。
「何が起こるか分からない社会で、モノを持たず身軽に生きようとする人が増えた」(博報堂生活総合研究所の吉川昌孝(よしかわ・まさたか)主任研究員)。昨年秋の金融危機と、その後の不況で生まれた「買わない人たち」が消費社会を揺さぶっている。(道下一郎共同通信記者)


