十和田湖に面し、かつて鉱山で栄えた秋田県北東部の小坂町。DOWAホールディングス系の「小坂製錬」には、廃棄されたパソコンから取り出した電子基板がぎっしり詰まった巨大な袋が並ぶ。
炉に送り込まれたリサイクル原料は、1300度を超える高温で熱せられ、銅などを含む真っ赤に溶けた金属が勢いよく流れ落ちる。
小坂製錬は、鉱山で培った製錬技術を生かし、使用済みの電子機器などから金属を回収する事業を拡大している。採算悪化で隣接する鉱山は約20年前に閉山。原料の大半を鉱石からリサイクル原料に切り替えた。
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廃棄された家電製品や携帯電話は「都市鉱山」と呼ばれる。中国など新興国を相手に世界各地で資源獲得を競う日本企業にとって、金や銀、液晶などに使われるレアメタル(希少金属)のインジウムなどが含まれる都市鉱山は身近にある「宝の山」だ。
「資源ナショナリズムが世界的に広がり、日本は苦戦している。リサイクルの拡大は当然の流れだ」(小坂製錬の矢内康晴(やない・やすはる)総務部長)。廃棄された携帯電話からは、1トン当たり約250グラムの金が取り出せる。鉱石よりも回収率が高いのが魅力という。
福井県敦賀市の「日鉱敦賀リサイクル」には携帯電話、コピー機、パソコンといった使用済みの電子機器などが次々運ばれてくる。携帯電話などはいったん焼却され、金や銀などの資源を抽出するため、大分市にある日鉱金属グループの製錬所に移される。
物質・材料研究機構(茨城県つくば市)は「日本の都市鉱 山は世界有数の資源国に匹敵する規模だ」と推定している。
同機構の試算では、金は約6800トンと世界の埋蔵量の約


16%、銀は約6万トンと約22%を占める。インジウムも約16%に上る。日本が海外で集めてきた資源が都市鉱山に眠っている。
国立環境研究所の寺園淳(てらぞの・あつし)室長は、2005年度に日本から海外に輸出された中古家電の量を460万台と推計した。経済成長が続く中国や、リサイクルのコストが安いフィリピンなどに持ち込まれる家電製品も多い。
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携帯電話の場合、国内での回収作業はそう簡単ではない。民間団体の推計では、00年度に1361万台だったリサイクル台数は08年度には617万台に減少した。機種変更後も写真やメールを思い出として残したり、携帯電話に記憶させた個人情報の漏えいを心配する利用者が少なくないためとされる。
携帯電話1台当たりの金属の価値は100円程度という。資源リサイクルを軌道に乗せるには、大量に集める必要がある。
小坂町に隣接する秋田県大館市は企業などと協力し、市役所や市内のスーパーに回収ボックスを置いた。携帯電話やリモコン、アダプターなどが集まっている。
大館市も鉱山で栄えた歴史を持つ。市の担当者は「市民の金属資源に対する関心は高い」という。経済産業省は「携

帯を頻繁に買い替える若者層の動きが鍵になる」とみている。
大ヒット中のハイブリッド車やこれから登場する電気自動車も、将来は再利用の対象になる。ハイブリッド車のニッケル水素電池は、パソコンやビデオカメラ用の電池とはけた違いの大きさだ。
「リサイクルが資源小国を支える日がいずれやってくる」。トヨタ自動車首脳は近未来の産業をこう予想している。(小林輝彦共同通信記者)


