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連載企画

岐路の憲法

第2部「わたしの視点」

(7) 沖縄では適用されてない 「知らないふり」集積  ライターの知念ウシさん

(7) 沖縄では適用されてない 「知らないふり」集積  ライターの知念ウシさん

 自分たちにも適用されれば、軍事基地の存在から解放される―。1972年の復帰前、沖縄の人たちは戦争放棄を掲げる9条や、憲法が定める自由、権利を求めた。復帰運動は憲法獲得運動という面がとても強かった。
 押し付け憲法と言う人は、憲法を求めて日本の一員になった県があることをどう考えるのか。
 沖縄で生まれ育った私自身、子どものころは「リベラルな日本」に憧れた。でも大学生になって憲法1条と9条、日米安保条約がセットになっている、つまり天皇制を維持して軍隊をなくし、米軍が駐留するのがつながっているという構造が分かった。だから沖縄には9条が来ない(適用されない)んだと。
 米兵のストレスのはけ口のような事件事故はなくならず、県民が総意で反対しても新型輸送機MV22オスプレイが配備されて危険にさらされる。不公平、不平等な軍事基地の集中によって沖縄では人権保障を含め、憲法が定めているものが実現されていない。
 ヤマト(日本)の人は「安保は必要だが、自分には関係ない」と思っているようだ。沖縄の人が基地負担を嫌がっているのに、安保問題のふたを開ければ大変なことになると、シランフーナー(知らないふり)をしている。そんな一人一人のシランフーナーが集積して、沖縄の今がある。
 日本では反基地運動が激化し、56年に岐阜、山梨両県の米海兵隊が沖縄に移ってきた。ヤマトで安保や基地に反対する人、9条を守ろうと考える人は、沖縄に押し付けた基地を日本に戻しながら自分でなくす。安保賛成の人も基地をヤマトに持ち帰ってから、憲法をどうするか考えてほしい。
 でも、こう言うと「日本人を敵に回すの?」と怒るヤマトンチュ(日本人)が多い。沖縄の人は「お願いします。助けてください」と頼む、かわいそうな存在じゃないといけないのだろうか。
 沖縄の次世代には反基地運動をせずに済む社会を手渡したい。9条の価値は胸の中でずっと輝いている。その価値を実現した憲法をクヮウマガ(子孫)に持たせたい。
 自民党の憲法改正草案には戦前の日本に戻りたいとの思いが透けて見えるが、草案の内容が十分知られているようには思えない。このまま改憲の流れになっていいのか。
 自民党が戦前に帰ろうとするなら、沖縄も(日本に組み込まれた1872年からの)琉球併合(琉球処分)の時点まで戻り、東アジア全体の近代を捉え直すのが筋だ。
 人権を守るために、沖縄の人が自分たちの憲法を持ちたいと思うのは自然なこと。5月、日本からの独立を研究する「琉球民族独立総合研究学会」が若い人を中心に設立された。歴史の転換点になるのではないか。
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 ちにん・うしぃ 66年那覇市生まれ。著書に「ウシがゆく」など。


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