≪レモン果汁・「防カビ剤不使用」と不当表示≫
【47コラム】 公正取引委員会がポッカコーポレーションに対し、景品表示法違反に当たるとして排除命令を出す方針を固めた。共同通信が3日、他社に先駆けて報じたニュースだ。「防カビ剤は使っていない」と表示したレモン果汁製品に、実は防カビ剤が入っていたというのだ。
もともとこの事案はポッカが9月8日夕、突如記者会見を開き、約450万本を自主回収すると発表していた。その時点で防カビ剤の使用が判明していた。
今回の共同通信の記事で目を引くのは、ポッカ上層部の悪質性だ。3日の記事(下記に掲載)によると、ポッカは2006年に防カビ剤が混入している事実を把握。しかし経営陣らは今年5月の会議で、在庫品を8月まで販売する方針を決定したという。景品表示法に抵触するという認識を持っていたというのだから驚く。事実なら、経営陣の下した決定は最悪といえる。
公取委から排除命令を受けるのであれば、その事実は重い。ポッカ経営陣は説明責任を果たすべきだ。現在、ポッカコーポレーションは非上場だが、そんなことは関係ない。消費者に向けて、詳しく経緯を明らかにしなければならない。9月8日の記者会見で開示した内容だけでは不十分であるといえよう。
ポッカは2005年8月22日、経営陣による自社買収(MBO)を実施すると発表した。国内の投資ファンド・アドバンテッジパートナーズの支援を得てMBOを行った。アドバンテッジパートナーズは9月21日、アドバンテッジが出資する「アドバンテッジホールディングス」がポッカ株の95%超を保有することになったと発表。2005年12月5日にポッカは上場廃止となった。アドバンテッジがポッカを実質的に支配していたといえる。
ポッカは元々、2008年度内の再上場を目指していたが、世界的な金融危機に加え、今回のレモン果汁不当表示問題により、再上場は遠くなった形だ。
思えば、不当表示問題はファンドがポッカの実権を握った後に発生している。ファンド側が利益至上主義を掲げて突き進み、食の安全や公正な表示がないがしろにされた-ということはなかったのだろうか。(2008年12月3日、47NEWS編集部 湯浅泉)
共同通信の記事 公取委ポッカレモンに排除命令へ 防カビ剤不使用と不当表示
飲料大手ポッカコーポレーション(名古屋市)が販売したレモン果汁製品をめぐり、防カビ剤の混入を把握しながら、「不使用」と表示して販売したとして、公正取引委員会は3日までに、景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、近く同社に排除命令を出す方針を固めた。
ポッカは今春以降、こうした製品表示が景表法に抵触すると認識しながら、7月に公取委の指摘を受けるまで販売を続けており、公取委は不当表示と判断したとみられる。
関係者によると、対象は同社が販売した「ポッカレモン100」の「300ミリリットル」「450ミリリットル」など5種類の製品。
イスラエルから輸入、販売していたレモン果汁に防カビ剤「イマザリル」が混入していたことが2006年、現地企業からの連絡で判明したが、同社は食品衛生法の基準以下だとして「防カビ剤は不使用」との表示を変更しないまま販売を継続。
今年3月には、同社が独自に実施した検査でも、製品から防カビ剤が検出され、不使用とした表示が景表法に抵触すると認識しながら、5月に経営陣らによる会議で在庫品を8月まで販売する方針を決定。公取委の指摘を受けるまで販売を続けていたという。
対象製品はポッカの主力商品で、同社はレモン果汁製品の売り上げで国内の約7割のシェアを占めるとされる。
(2008年12月3日 共同通信)
ポッカコーポレーションのニュースリリース(自主回収)はこちら(2008年9月8日)
≪塩化シアン≫
【神奈川新聞のコラム】 ウインナーやピザの製造過程で地下水を使っているとは知らなかった。…筆者の自宅冷蔵庫にも伊藤ハムの未開封のウインナーが二袋ある。回収対象の製品ではなさそうだが、よくは分からない。問い合わせ電話も混雑でつながらない。仮に対象でも「食べたところで人体には影響のない量」と同社はいう。でもねえ。家族で思案投げ首である…先日はカップめんから防虫剤成分が検出され、藤沢の女性が健康被害を訴えたばかり。…中国製食品の問題が多かった中で、今度は国内製品にも不安が広がる。…(10月28日付「照明灯」)全文
▼(「食の安全」に関連する記事・写真2300本がコラム集の下にあります)
【信濃毎日新聞のコラム】 賞味期限が容器にフェルトペンで手書きされた豆腐を、時々買っている。置いてあるコンビニが近所にあるからだ。一つ一つ微妙に違う年月日の数字が温かみを感じさせる。…こんな流れを無にするような食をめぐる出来事が、次から次へと起きている。こんどは伊藤ハムの工場で使っている地下水から、毒性のある塩化シアンなどが基準値を超えて検出された。…問題なのは、検出から発表まで1カ月ものずれがあったことだ。消費者はこの間、何も知らずに買い続けたことになる。…(10月28日付「斜面」)全文
【秋田魁新報のコラム】 …カップめんに防虫剤成分が入っていたメーカーには4月以降、異臭がするとの苦情が相次いでいた。ソーセージなどの製造に使う地下水からシアン化合物が検出されたメーカーは、1カ月も前の検査で異常に気付きながら、再検査の結果を待っていた▼すぐに手を打てばコスト増、収入減につながるとの計算が見え見え。…(10月27日付「北斗星」)全文
≪冷凍インゲン≫
【高知新聞のコラム】 …中国と日本の生産、保管から流通まで、どの過程で混入したのか。いまや地球規模になった冷凍食品サイクルの死角を突かれた形だ。昔の冷凍食品の開発者たちは、想像もしなかったろう。では彼らは、冷凍技術の発達と引き換えに、失われるものは想像できただろうか。「旬」という感覚である。隠元禅師が中国からもたらしたともいう隠元豆、俳句では秋の季語だと思い出した。(10月18日付「小社会」)全文
【河北新報のコラム】 …冷凍インゲンから殺虫剤が検出された事件は、毒ギョーザ事件と同様の犯罪のにおいがプンプンする。検疫の強化や安全管理の徹底を望む声が強いが、それだけでは防げない種類の事件だ▼肉骨粉の大量流入に気付いたフランスは即座に全面禁輸措置を取った。以後、農産物はむろん飼料についても自給の道を探った。BSEの例は食の安全と人の健康を考える際の苦い教訓に満ちていよう。(10月17日付「河北春秋」)全文
【岩手日報のコラム】 …日本三禅宗の一つの黄檗(おうばく)宗は、中国明代の隠元(いんげん)禅師が1654(承応3)年に弟子とともに渡来して広めた。家庭菜園でもおなじみのインゲン豆は、その時もたらされたという。▼隠元禅師はスイカやレンコンも持ち込んだとされる。日本には物心両面でありがたい人物だ。その隠元禅師の逆鱗(げきりん)に触れそうなのが、中国製冷凍インゲンの農薬問題。汚染は原液に近いほど高濃度だったというから驚く。▼問題を知った途端、誰もが「また中国産か」とあきれたろう。冷凍ギョーザ中毒事件が未解決なのに、…安全安心なのは地産地消。近場の産直などで旬の産物を買い求めるのが一番だと分かる。(10月16日付「風土計」)全文
≪汚染米≫
【愛媛新聞のコラム】 …周知のように、日本人は古くから米を大切に扱ってきた。米粒をこぼしたりすれば「バチが当たる」としかられたものだ。が、消費量の落ち込みとともに、米への思いや扱いも様変わりしてきたようだ。汚染米問題も米に対する意識の変化と無縁ではなかろう。その焼却処分がきのうから始まった。事故米とはいえ精米された米が次々と焼却炉に放り込まれ、真っ赤な炎に包まれる。かつて一本一本稲穂を拾い集めた身にはショッキングな映像だった…(10月4日付「地軸」)全文
【河北新報のコラム】 …農水省は保有する事故米を来月から廃棄処分にするそうだ。やや乱暴な対応ではないか。もう少し丁寧な善後策があっていい。使い道のない米ではないからだ▼燃料や消毒用アルコールに利用できる。カビ毒や農薬は発酵の過程で除去できるし、汚染米を使った焼酎は蒸留すればアルコールになる。単に米を廃棄したら二酸化炭素の発生源にもなる▼今後も一定量の米を輸入せざるを得ないとすれば、汚染米が継続的に出る可能性は残る。廃棄や返品だけでは知恵がない。対策を再考してはどうか。(9月30日付「河北春秋」)全文
参考 ≪じたばた騒がない≫ ≪日本の消費者やかましい≫
太田誠一農相の発言2件
①汚染米=「…有毒性がほとんどないと。しかも今分かっているところでは、中国ギョーザの場合の濃度に比べて60万分の1。低濃度であると。だからですね、人体に影響はないということは自信をもって申し上げられるわけです。だから、あんまりじたばた騒いでないわけ。…あんまり安全だ安全だと言わない。言わないんだけど安全なんですよね。60万分の1なんだから。…」(9月12日、日本BS放送BS11の番組収録)農相発言全文 野党が農相の罷免要求
②ギョーザ=「評論家のようなことを言うようだが、社会主義の国と日本のような民主主義の国は違う。消費者としての国民がやかましくいろいろ言うと、それに応えざるを得ない。中国のように、…」(8月10日、NHK討論番組)全文を読む
≪国産信仰に陥るな ギョーザ事件を考える≫
【47コラム】
…食べ物が安全かどうかということと、産地(中国産か国産か)や価格(高いか安いか)とは、本来、何の関係もない。当たり前のことだが、安全かどうかは、生産工程や流通段階で危険なものを確実に排除する仕組みがあり、それが機能しているかどうかで決まる。「国産だから安全」とか、「生産者の顔が見えるから安心」というのは、笑い話だ。… 全文(勇)
【河北新報のコラム】 …水を差すつもりはないが、いやな話を一つ。安価な輸入ブドウを使っても国内で醸造すれば国産ワイン。たるで輸入した外国ワインを混ぜても国産。輸入物の濃縮ブドウ果汁で醸造しても国産。「おかしくないですか」と、…(10月26日付「河北春秋」)全文
≪内部告発を考える≫
【新潟日報のコラム】
…注目すべきは、ほとんどの偽装が内部告発によって暴かれていることだ。匿名が多く、元従業員もいるかもしれない。…偽装が急増したのではなく、告発ラッシュが起きていると見るべきだ。終身雇用は崩れ、定年退職と縁のない非正規雇用が増えた。多くの現場は名ばかり管理職と非正規が切り盛りしている。改善意見を出しても耳を貸してもらえず、トップは利益やノルマに口うるさい。こんな職場で働きがいは生まれない。偽装暴露の内部告発には、正義感の発露と同時に、変わらない組織への反乱が見え隠れしている。(7月2日付「日報抄」)
≪食べ残しを考える≫
【上毛新聞のコラム】
パーティーなどで、終わり間際になっても料理がほとんど手付かずのまま残っている光景をよく目にする。その都度、つい「もったいない」と思ってしまう。そう感じる一方、自分の家庭を顧みると、胸を張れないことに忸怩(じくじ)たる思いがする。スーパーで買いだめし過ぎ、無駄にしたことがこれまでに何度あったことか。まだ食べられるのに捨てられている家庭の食品が四割もある-。八日付本紙の記事「遅れる食品廃棄物減量策」は、家庭からの食品廃棄物にレストランや流通段階での無駄を加えると、国内で年間五百万-九百万㌧(農林水産省の試算)の食品ロスが出ていると伝えていた。賞味期限をめぐる製造、流通側の仕組み改善、消費者の意識改革が無駄を減らす鍵となりそう…(9月10日付「三山春秋」)全文
【信濃毎日新聞のコラムから】
人間の味覚は人の思いで変わる-。日本料理の料理人、小山裕久さんが随筆に書いている。妻が1時間前に焼いた卵焼きを例に引き、冷めてしまっても帰宅した夫に何と言うかで味が変わる、と。…小山さんは若いころ、日本料理の老舗「吉兆」で修業している。創業者の故湯木貞一さんのおかげで「料理を好きになっていけた」と振り返る。…今回の船場吉兆の客を裏切る行為…とんでもない話だ。半面、家庭や飲食店などの食べ残しは大きな問題だ。食べ物の多くを外国に頼りながら“飽食”を変えない暮らしを省みる機会になる。(5月10日付「斜面」)
京都新聞9月5日
≪賞味期限の表示法を考える≫
【紀伊民報のコラム】
…原料用梅干し(白干し梅)は、塩漬けの保存食品なので「賞味期限」を省略してもよいことになったそうだ。「消費」も「賞味」も言葉の意味が分かりづらい。消費期限は「安全に食べられる期限」、賞味期限は「おいしく食べられる期限」と、小学生でも分かる言葉に変えたらどうだろう。(5月27日付「水鉄砲」)全文
≪商人道を考える≫山陰中央日報 5月12日付「明窓」 紀伊民報 9月9日付「水鉄砲」
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